「総合型選抜の対策を看板にした塾を開きたいが、自分は志望理由書を添削した経験がない」「この入試の専門の塾として開くなら、何がそろえば開業できるのか」。入試の仕組みを調べるほど話が受験生向けの対策に寄っていき、開業の準備として何を用意すればよいのかが分からなくなることがあります。
総合型選抜の塾は、書類を添削できる人が一人いれば開けるわけではありません。志望校と入試方式を選ぶ段階から、書類、小論文、面接、大学によっては教科の試験まで、出願までの長い期間を受け持つ仕事になります。開業の準備は、その仕事を誰が受け持つかを決めることから始まります。
この記事では、文部科学省の資料で、総合型選抜と学校推薦型選抜がどの大学でどれくらい使われているかを、国立・公立・私立に分けて確かめます。そのうえで指導に要るものを並べ、自分で教える、講師を雇う、講師を置かないFCに加わる、という形ごとに、それをどうそろえるかを整理します。入試の数字はどれも、2026年10月17日に文部科学省の公表資料で確かめたものです。
最後まで読んだら、指導に要るものを紙に書き出し、それぞれを誰が受け持つかを、形ごとに埋めてみてください。埋まらなかった欄が、開業の前に決めることになります。
総合型選抜を行う大学は全体の9割を超え、私立大学では入学者の5人に1人を超えます

2025年度に大学へ入った人のうち、総合型選抜で入学した人は19.5%、学校推薦型選抜で入学した人は34.1%です。総合型選抜を行う大学は728校で、全体の93.6%にあたります。どちらも文部科学省の「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(2025年11月)で確かめられます。
私立大学と国立大学では、この入試で入る人の割合が大きく違います
同じ資料を設置者別に見ると、私立大学では学校推薦型選抜で38.8%、総合型選抜で22.8%の人が入学しています。国立大学は学校推薦型選抜が12.7%、総合型選抜が7.7%、公立大学は学校推薦型選抜が26.9%、総合型選抜が6.0%です。同じ大学受験でも、目指す大学の種類によって、この入試に向き合う生徒の多さは変わります。
例えば、教室を開こうとする地域の高校生が、地元の国立大学を目指すことが多いのか、私立大学へ進むことが多いのかで、面談で出てくる相談の中身は変わると考えられます。全国の割合だけを見て開業を決めると、通ってくる生徒の進路の偏りが抜けます。
ただし、文部科学省は、この年度から選抜区分の整理を改めたため、前の年度の数値とは比べられないとしています。伸び方の根拠にはせず、今の入り方の割合として使います。
総合型選抜は、一部の大学だけが行う特別な入試ではありません
総合型選抜を行う大学は、国立で75校(92.6%)、公立で79校(80.6%)、私立で574校(95.8%)です。学部で数えると2,476学部で、全体の93.0%にあたります。学校推薦型選抜を行う大学は772校で、全体の99.2%です。
例えば、生徒が志望校を一つ決めて相談に来たとき、その大学もこの入試を行っている見込みは高いと言えます。塾にとっては、一部の生徒だけの珍しい相談として扱うより、志望校が決まった生徒ごとに一度は確かめる選択肢として、受け入れる用意が要ります。
ただし、大学がこの入試を行っていることと、生徒の志望する学部に合う方式があることは別です。募集の人数も試験の中身も学部ごとに違うため、指導では、一人ずつ募集要項を確かめる作業が毎年続きます。
総合型選抜の塾が受け持つのは、添削より前の入試の選び方から、出願のあとの面接までです

この入試の塾が売るのは、書類の添削という一つの作業ではなく、出願までの準備の組み立てです。開業の前に、その組み立てに入る仕事を一つずつ書き出し、誰が受け持つかを決めます。
指導は、志望校と入試方式を一緒に考える面談から始まります
総合型選抜を受けるか、学校推薦型選抜を目指すか、一般選抜で受けるかは、生徒の評定、続けてきた活動、志望する分野で変わります。この判断を生徒とご家庭と一緒にする面談が、この入試の塾の最初の仕事です。
例えば、評定が高く部活動を続けてきた高2の生徒が「一般入試しか考えていなかった」と言う場合、面談で方式ごとに要る準備と時期を伝えるところから指導が始まります。ここを飛ばして書類の書き方から入ると、受ける方式そのものを途中で決め直すことになりかねません。
この面談は、教科を教える力とは別の仕事です。開業の形を決めるときは、教える人とは別に、面談を誰が受け持つかも決めておきます。
書類、小論文、面接は、大学ごと、生徒ごとに中身が変わる仕事です
総合型選抜では、志望理由書や学修計画書などの書類に、面接(口頭試問やプレゼンテーションを含む)、小論文、教科の試験などを、大学ごとに組み合わせて選考します。何を課すかは、大学と学部の募集要項で決まります。
例えば、同じ教室に、教育学部を志望して小論文と面接を受ける生徒と、経済学部を志望して共通テストも課される生徒がいる場合を考えます。2人に同じ教材を配って同じ順番で進めることはできず、一人ずつ別の予定表が要ります。
ただし、生徒ごとに中身が違っても、書類の構成の考え方や面接の練習の進め方には、共通にできる手順があります。開業の前に、その手順を教材やカリキュラムとして持つのか、教える人の経験に任せるのかを決めます。
志望分野に合う先生を、どこから確保するかを開業の前に決めます
書類にも面接にも、志望する分野で何を学びたいかが表れるため、その分野を学んだ先生が受け持つと、準備の質を上げやすくなります。生徒の志望分野は文学から工学、医療、芸術まで散らばるため、一人の先生ですべてを受け持つことはできません。
例えば、開業して最初の相談が、地元の大学にない学部を志望する生徒だった場合、合う先生のあてがなければ、相談を断るか、分野の違う先生が受け持つことになります。
開業の時点で、すべての分野の先生をそろえる必要はありません。ただ、合う先生がいないときにどこから探すのか、その段取りは開業の準備に入れておきます。
自分で教えるか、講師を雇うか、講師を置かないFCに加わるかで、開業の準備は変わります
指導に要るものをどうそろえるかで、開業の形は大きく3つに分かれます。どの形を選ぶかは、自分の経験、使える時間、開業に回せるお金で決まります。
自分で教える形なら、受け持てる分野と生徒の人数を先に決めます
自分で教える形は、人を雇わずに始められ、開業の費用も教室と教材の分で済みます。その分、受け持てる分野と生徒の人数は、自分の経験と時間で決まります。
例えば、法学部を出た人が書類と面接を受け持つ場合、社会科学系の志望者には深く付き合えても、理工系や医療系の志望者の面接では、学問の中身に踏み込む質問を作りにくい場面があります。出願が重なる秋に、一人の書類を何度も書き直す時間を何人分取れるかも、上限になります。
この形を選ぶなら、受け入れる分野と人数を決めて、それ以外の相談をどこへつなぐかまで考えておくと、断る場面で迷わずに済みます。
講師を雇う形なら、分野ごとの採用と育成にかかる時間を開業の前に見込みます
講師を雇う形では、受け持てる分野を増やせる代わりに、採用、研修、シフトの管理が教室の仕事に加わります。講師の給与は、生徒の数が少ない月にも、シフトに入った分が出ていきます。
例えば、文系と理系の講師を一人ずつ採用して開業しても、志望分野の合わない相談が来れば、また別の講師を探すことになります。分野を広げるほど、生徒が少ない立ち上がりの時期の人件費が重くなります。
開業の計画では、講師が決まるまでの期間と、その間の人件費を、教室の費用とは別の行に書いておきます。
講師を置かないFCに加わる形なら、本部と加盟校の受け持ちを書面で確かめます
講師を置かない形のFCは、教える仕事と先生を選ぶ仕事を本部に任せる形です。マナビライトでは、全国7,271人の応募から選んだ本部の先生が教え(2026年10月2日時点)、先生は志望校・評定・性格など10項目のデータで生徒ごとに選ばれます。カリキュラムは709単元から、その生徒に合わせて組みます。毎回の指導は録画とカルテで本部が確かめ、ご家庭にも届きます(2026年10月時点の募集ページの内容です)。
加盟校で新たに雇う人は0人ですが、教室を開けている間は、オーナーご自身かスタッフが1人いる必要があります。スタッフを置く場合は、その費用が募集ページの収支のモデルの外で加わります。加盟校に残る仕事は、営業(入会までの面談)とCS(入会後のご家庭の対応)です。ご家庭との面談は、オーナーご自身でも、雇ったスタッフに任せてもかまいません。任せる場合は、そのスタッフにもオーナーと同じ研修を修了してもらい、本部が代わりに面談することはありません。生徒の集め方は、自分で集めるか本部の集客代行を申し込むかから選びます。
例えば、先ほど書き出した仕事のうち、進路の設計、志望理由書・小論文・面接などの対策と教科の指導、先生選び、カリキュラム、指導の記録は本部、入会までの面談で合格までに何が要るかを伝えるのは加盟校、というように欄を分けて埋めます。ただし、本部が受け持つ範囲は本部によって違うため、どのFCでも、資料の言葉ではなく契約書と開示資料で確かめてください。
「受け持ちの分け方は分かったけれど、自分が開く場合、生徒が何人になれば教室の費用をまかなえるのか」。受け持ちの形が決まらないうちは、毎月の支払いも、開業に必要なお金の総額も決まりません。教室を新しく借りるか、今の教室に間借りするかが決まっていない段階でも、条件を置いて試算することはできます。
個別説明会で確かめられること
- 新しく教室を借りる場合と、今の教室に間借りする場合の収支を、自分の条件でその場で試算します
- 加盟金の分割や借入の相談を含めて、資金の集め方を一緒に考えます
- 開業までの流れを聞き、自分に合う始め方を一緒に決めます
個別説明会はオンラインで30〜60分で、お一人でも、ご家族とご一緒でも参加できます。費用と条件の全体は加盟オーナー募集のページで確かめられます。
開業までに決めることは、教室、毎月のお金、集客の順に並べます

受け持ちが決まれば、教室の広さと、毎月出ていくお金の形が決まります。順番を逆にして先に教室を借りると、指導の形に合わない広さや場所を選ぶことがあります。
教室は、新しく借りるか、今の教室に間借りするかで、開業に必要な総額が変わります
講師を置かない形では、教える人が教室にいないため、講師と生徒が並んで座る広さは要りません。マナビライトの場合、校舎に要るのは小さな教室1室と、PCと机、自習の席、ご家庭と面談する人で、内装工事は要りません。
開業に必要な総額は、市区町村の1校目の場合300万〜450万円(そうでない場合は400万〜550万円)で、加盟金と、教室を持つ場合の物件・什器(上限150万円)を合わせた額です。加盟金は400万円(税別)で、市区町村の1校目は、加盟校が10校開校するまで300万円(税別・税込330万円)です。場所代がかからない間借りなら、物件の費用はかかりません。ただし、PCとヘッドセットは、間借りでも同じ時間に指導を受ける生徒の数だけ要ります(物件の契約のお金がかからないぶん、上限の150万円より少なく済みます)。この総額に、黒字になるまでの家賃などの運転資金は含まれないため、別に用意する額として計算します。運転資金の目安は、教室を借りる場合で毎月の固定費の6か月分です。2026年10月時点の募集条件で、最新は個別説明会でご案内します。1校目の条件も、個別説明会でお問い合わせください。
例えば、いま塾や習い事の教室を開いていて、平日の夜に空く部屋があるなら、その部屋に間借りする形が考えられます。別の事業の事務所の空き部屋や、ご自身の持ち物件、使用料を払って人の教室を借りる形も、自宅とは別の場所であれば間借りと同じ扱いです。自宅の一室では開業できません。使用料を払う場合は、収支のモデルの固定費のうち家賃15万円の所が、その使用料に代わります。ただし、どちらの場合も、借りている物件なら、教室として使ってよいかを貸主との契約で確かめる必要があります。
毎月のお金は、生徒が0人の月と少ない月から計算します
募集ページの条件(2026年10月時点)では、毎月の本部への支払いは、教師への指導料20%、ロイヤリティ12%、集客代行を申し込んだ場合の20%で、どれも売上に対する割合です。生徒がいない月の本部への支払いは0円ですが、家賃などの固定費は毎月出ていきます。
募集ページのモデルでは、月謝10万円(税別)・教室を持つ場合(固定費 月20万円、家賃15万円・雑費5万円の想定)に、月に手元へ残る額は、自分で集めると在籍3人で+0.4万円、5人で+14万円、10人で+48万円、集客を本部にまかせると3人で−5.6万円、5人で+4万円、10人で+28万円です。黒字になるのは、自分で集めれば3人から、まかせても5人からです。税引前の試算で、税金と借入の返済は含みません。教室型の加盟校の実績はまだなく、保証するものではありません。実際の収支は地域・物件・入会の状況で変わります。
例えば、在籍0人の月と、この段にある3人・5人の月を並べます。0人の月は本部への支払いが0円でも、モデルの固定費の月20万円はそのまま出ていきます。自分の物件の家賃に置き換えた額は、個別説明会でその場で試算できます。家族や金融機関に説明するときは、最も苦しい月の数字から見せると、話がかみ合いやすくなります。
集客は、自分で集めるか本部の集客代行を使うかを、開業の前に選びます
この入試の相談は、高校生とご家庭が、近くに相談できる場所があるかを探すところから始まります。開業した日から相談を受けられるように、集め方は教室の準備と並べて決めます。
集客代行は、本部が広告を出し、届いた相談を配分のルールに沿って加盟校へ渡す仕組みです(紹介先はご相談の方のお住まいの都道府県で決めます)。お支払いは、申し込んだ加盟校のマナビライトの売上全体(受講料・入会金・講習費・教材費。自分で集めた生徒の分も含みます)の20%で、広告費を先に払う必要はありません。今の塾でご自身が教えている授業の売上にはかかりません。渡す件数は加盟校ごとに月単位で決まり、生徒数を保証するものではありません。自分で集める場合、代行の費用はかかりません。
例えば、別の事業のお客様に高校生のいるご家庭が多いなら、自分で集める形が合うこともあります。どちらにするかは、開く地域に届いている問い合わせの件数を個別説明会で聞いてから決められます。代行は、開業したあとから申し込むことも、やめることもでき、月ごとに切り替えられます。相談を受けたあとの面談は、どちらの形でも加盟校で行います。
総合型選抜の塾の開業について、よく聞かれる疑問に答えます
総合型選抜に詳しくなくても、この入試の塾を開けますか?
指導を本部が受け持つ形なら、オーナーが入試の細目を生徒に教えることはありません。ただし、入会までの面談で合格までに何が要るかを伝えるために、入試の知識は要ります。
マナビライトでは、面談の進め方と入試の知識を研修サイトの教科書で学べ、開業前の研修はオンラインで、ご自身のペースで進められます。面談の進め方を身につけられるよう、研修アプリと研修制度があります。
生徒が志望する分野の先生が、見つからないことはありませんか?
教室の近くだけで探す場合は、見つからないことがあります。マナビライトでは、学んだ分野ごとに全国の先生から候補を出します。受験相談の記録をAIが読んで候補を5名に絞り、最後は本部の担当者が1人に決めます。
ただし、分野によって候補の数は違うことがあるため、気になる分野があれば個別説明会で聞いてください。
開業したばかりで実績のない教室を、ご家庭に信頼してもらえますか?
教室は新しくても、指導する先生の経験は開業の日に始まるわけではありません。マナビライトの先生がこれまでに合格へ導いた大学は508大学です(マナビライトでの指導と、先生が加わる前の指導を合わせた数で、先生本人の申告と社内集計による。2026年10月時点)。
例えば、面談でご家庭が気にするのは、誰が教えるのか、毎回何をしているのかが分かるかどうかです。毎回の指導の録画とカルテがご家庭に届く仕組みは、その問いに答える材料になります。ただし、どの数字も合格を保証するものではありません。
説明会の予約から開業まで、どのくらいかかりますか?
募集ページでは、ご予約から開業までを最短2週間としています。個別説明会、審査・ご契約、オンラインの研修を経て、相談の受け入れを始めます。
ただし、物件を新しく探す場合や、借入の審査を待つ場合は、その期間も見込んで計画を立てます。
総合型選抜の塾は、指導の受け持ちを決めてから、教室とお金を決めましょう
この入試の塾を開くときに最初に決めるのは、看板や教室の場所より、面談、書類、小論文、面接、分野の合う先生を、それぞれ誰が受け持つかです。
避けたいのは、教室を借りて看板を出してから、相談に来た生徒の志望分野に合う先生を探し始めることです。受け持つ人が決まっていないと、最初の相談で断るか、合わない先生に任せることになります。
今の段階で、教室の場所や開業の月まで決める必要はありません。指導に要るものを書き出して受け持ちの欄を埋め、生徒が0人の月に出ていくお金を計算するところまで進めてみてください。
講師を置かない形で始めた場合の収支や、資金の集め方を知りたい場合は、マナビライトの無料の個別説明会で確かめられます。オンラインで30〜60分、試算はその場で出します。埋めた受け持ちの表を手元に置いておくと、本部が受け持つ所と自分が受け持つ所を、その場で突き合わせられます。