「子どもが減っていくのに、今から塾を始めて10年続けられるだろうか」「教室の生徒が年々減っている。新しいコースを足しても、同じように減るのでは」。塾を開くか、今の教室に手を加えるかを考え始めると、最初に引っかかるのが少子化の話です。
18歳人口が減っているのは事実で、この先も減ります。ただし、子どもの数が減ることと、大学受験の塾に求められる仕事が同じ割合で減ることは別です。大学に進む人の割合は上がり、大学に入る方法もこの25年で大きく変わりました。
この記事では、文部科学省の資料で18歳人口、大学への進学率、入試の区分ごとの入学者の割合を確かめ、塾を経営する側から見て何が変わったのかを整理します。入試制度の細かな説明は最小限にとどめ、公的な数字と、この記事の見立てを分けて書きます。数字は2026年10月16日時点で確認したものです。
読み終えたら、開こうとしている地域で調べること、書類と面接の指導を誰に任せるか、生徒が0人の月に出ていくお金を、紙に書き出してみてください。少子化の不安を、全国の話から自分の教室の話に置き換えるための材料になります。
18歳人口は減り続けていますが、大学に入る人は2000年度より増えています
18歳人口は、ピークだった1966年の約249万人から、2024年には106万人まで減りました。2041年には71万人まで減ると予測されています。数字は文部科学省の「学校法人の経営面に関する現状等について」(2026年3月)で確かめられます。
同じ資料は、2025年度は18歳人口が前の年より増えたものの、2027年度以降は再び減り、2035年度以降は減り方が速くなるとしています。
人口の減り方は、教室を続ける年数に重ねて考えます
少子化は、塾にとって生徒になりうる人の数そのものを減らします。開業の計画では、この流れを前提に置く必要があり、「少子化は関係ない」とは言えません。
例えば、2026年に開いた教室が10年目を迎えるのは2035年ごろで、資料が減り方の速くなるとしている時期と重なります。今の高校生の数が続く前提で生徒の数を見積もると、後半の年の見込みが甘くなります。
ただし、全国の減り方が、そのまま一つの地域に当てはまるわけではありません。地域ごとの調べ方は、後の章で扱います。
大学に進む人の割合が上がり、入学者の数を支えてきました
同じ資料では、大学への進学率は2024年に59.1%です。大学に入った人の数は、2000年度が約59万人、2025年度が64万8,430人でした(2000年度は文部科学省大学入試室調べの「入試方法別入学者数の推移」、2025年度は次の章で示す概要の人数)。
例えば、地域の中学生の数が減っているのを見て「高校生向けの塾も先細りだ」と判断すると、大学受験の塾に限った動きを見落とします。小中学生向けの教室と大学受験の教室では、母数の動き方が同じとは限りません。
ただし、進学率がこの先も同じように上がり続けるかは分かりません。ここまでの数字は過去の流れを示すもので、将来の生徒の数を約束するものではありません。
大学に入る人の半分を超える人が、総合型選抜か学校推薦型選抜を使っています

2025年度に大学に入った人のうち、総合型選抜は19.5%、学校推薦型選抜は34.1%で、合わせて半分を超えます。数字は文部科学省の「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(2025年11月)で確かめられます。2000年度は、推薦入試とAO入試で入った人が33.1%でした。こちらは中央教育審議会の資料「入試方法別入学者数の推移」の人数から計算しています。
総合型選抜はかつてのAO入試、学校推薦型選抜は推薦入試にあたる入り方です。3人に1人ほどだった入り方が、25年で半分を超える入り方になりました。
2000年度と2025年度の数字は、大きな流れとして読みます
文部科学省は、2025年度から「一般選抜とそれ以外」という整理を改め、外国人留学生を対象とする選抜も数字に含めたため、前の年度とそのまま比べることはできないと注記しています。
例えば、2つの年度の差を何ポイントと計算して事業計画の根拠に書くと、数え方の違う数字を引き算したことになります。家族や金融機関に説明するときも、「大学に入る方法の中心が、一般入試だけではなくなった」という流れとして伝えるほうが正確です。
塾から見て変わったのは、生徒が準備するものの中身です
文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月)は、総合型選抜で、本人が書く活動報告書・大学入学希望理由書・学修計画書などを評価に使うよう定めています。志望する学問分野への意欲や適性を見る面接なども、総合型選抜と学校推薦型選抜の両方で求めています。
塾の側から見ると、教科の点数を上げる授業とは別に、書類を一緒に組み立て、面接で話す練習に付き合う仕事が生まれたことになります。例えば、高2の生徒の保護者から「推薦で行けそうだと先生に言われたが、何を準備すればよいか」と聞かれたとします。教科の授業だけをしている教室では、志望理由書をいつから誰が見るのかを答えられず、相談の先がほかへ移ります。
ただし、総合型・推薦の選抜でも、大学入学共通テストや教科の試験を課す大学があります。この入試の準備が増えても、教科の指導が要らなくなるという意味ではありません。
一般入試向けの塾の仕組みだけでは、書類と面接の準備に手が届きにくくなります

一般入試向けに作られてきた塾が多いのは、長いあいだ入学者の中心が一般入試だったためです。2000年度は、大学に入った人のおよそ3人に2人が一般入試でした。範囲の決まった教科を、同じ教材で、決まった順番に進める仕組みは、その需要に合っていました。
書類と面接の準備は、生徒ごとに中身が違います
志望理由書や学修計画書は、生徒が何を学びたいのか、なぜその大学なのかで中身が変わります。全員に同じ教材を配って進める形では、一人ずつの書類を見る時間を取りにくくなります。
例えば、同じ高3でも、看護を志望する生徒と情報系を志望する生徒では、調べる大学も、面接で掘り下げられやすい話も違います。集団の授業に組み込もうとすると、どちらかの準備が後回しになります。
これは、一般入試向けの塾が劣っているという話ではありません。求められる仕事が違うため、同じ仕組みのまま受け持とうとすると無理が出る、という意味です。
志望分野を学んだ先生は、教室の近くにいるとは限りません
面接や書類では、志望する分野への理解も問われます。その分野を大学で学んだ先生が見ると、準備の質を上げやすくなります。マナビライトに登録した先生を学んだ分野ごとに見ると、その分野の先生が生徒と同じ県に1人でもいる確率は、映像で8%、海洋・水産で18%、音楽で28%、地球科学・地学で51%でした。同じ県の先生だけで選ぶと、候補は登録の3%に減ります(社内システム、2026年9月27日時点)。
例えば、音楽系の大学を志望する生徒が来た場合、近くの大学生の講師に面接の練習を頼むことはできても、その分野で何を学ぶのかを一緒に掘り下げるのは難しいことがあります。
ただし、上の数字はこの登録の中で見たもので、地域の講師全体を測ったものではありません。志望分野が珍しいほど近くで先生を見つけにくい、という傾向として受け取ってください。
FC で塾を開くなら、本部がこの入試をどこまで扱うかを確かめます
マナビライトの本部が調べたところ、FC 比較サイトに載っている学習塾 FC 19社の募集ページで、総合型選抜・AO・推薦を専門に掲げる FC は0社でした(2026年9月時点)。調べたのは比較サイトに載っている19社だけで、FC で加盟を募っていない専門の塾は入っていません。
例えば、本部の資料に「推薦対策コースあり」と書いてあっても、書類を誰が見るのか、面接の練習を誰が行うのか、志望分野に合う先生を選べるのかは、資料だけでは分からないことがあります。比べるときは、この入試の準備のうち本部が持つ所と加盟校が持つ所を、一つずつ聞いて確かめます。
ここまで読んで、「全国の流れは分かったが、自分が開こうとしている地域に、この入試の相談がどれくらいあるのか」が気になった方もいるでしょう。地域ごとの相談の件数は公的な統計に出てこないため、自分だけでは調べにくい所です。件数は地域によって差があり、生徒数を保証するものではありませんが、開く地域の見当がついていれば話を進められます。
個別説明会で確かめられること
- 開校を考えている地域に、本部へ届いている問い合わせの件数が分かります
- 教室を持つ場合と、今の教室に間借りする場合の収支を、自分の条件で試算します
- 新しく開くか、今の教室に足すかなど、始め方を一緒に決めます
少子化の中で塾を開く前に、地域・時期・指導・お金の順に確かめます

全国の入試が変わっても、自分の教室に生徒が来るかどうかは別の問題です。需要の数字は塾を考える理由にはなりますが、生徒の数を約束するものではありません。ここからは、開く前に確かめる5つのことを、自分で調べられる所と、本部や家族に確かめる所に分けて書きます。
通える範囲の高校の数と、大学に進む生徒の多さを先に調べます
子どもの減り方は、地域によって違います。教室に通える範囲にある高校の数、それぞれの進路実績、推薦の枠を持つ高校かどうかは、高校の公式サイトや都道府県の統計である程度つかめます。
例えば、駅の近くに高校が集まる地域と、高校が一つしかない町とでは、同じ人口でも教室に来られる生徒の数が違います。市区町村の人口だけで判断すると、この差が抜けます。調べた高校の名前と、大学に進む生徒の割合を一枚に並べておくと、あとで本部や家族に説明するときの材料になります。
近くに、この入試を相談できる場所があるかを見ます
一般入試向けの塾が多い地域でも、総合型・推薦を相談できる場所があるとは限りません。近くに選択肢がない地域の家庭には、この入試で何が求められるのかという情報が届いていないこともあります。
例えば、評定も部活動の実績もある生徒が、一般入試しか考えていないことがあります。この場合、塾の仕事は教えることより先に、面談で選択肢を伝えることから始まります。ただし、相談できる場所が少ないことは、すぐに生徒が集まることを意味しません。家庭がこの入試の準備の必要に気づくまで、時間がかかることもあります。
総合型選抜の夏から秋は、一般入試の山場と時期がずれます
令和9年度入試の実施要項では、総合型選抜の願書の受付は2026年9月1日以降、合格発表は11月1日以降です。学校推薦型選抜は、願書の受付が11月1日以降、合格発表が12月1日以降です。日程は毎年の実施要項で決まるので、開業する年度の要項で確かめてください。
一般入試向けの教室にこの対策を足すと、総合型の準備が重なる夏から秋は、一般入試の直前期より前に来ます。一方で、学校推薦型の11月から12月は、一般入試の直前期と重なります。例えば、高3の秋に推薦の面接練習と一般入試の過去問の添削が同じ週に重なると、受け持つ人が足りなくなります。時期のずれを当てにして人を増やさない計画にするなら、推薦の時期の手当てを先に決めておくと安全です。
書類と面接の指導を誰が担うかは、開く前に決めます
自分で教えるのか、講師を雇って育てるのか、本部の先生の指導を使う形にするのかで、必要な人と時間が変わります。担う人が決まらないままでは、相談が来ても受けきれません。
講師を置かない形の FC では、指導と先生選びを本部が受け持ちます。マナビライトの場合、教えるのは全国7,271人の応募から選んだ本部の先生で(2026年10月2日時点)、生徒は教室のPCの前で1対1のライブ指導を受けます。オーナーの仕事は、入会までの面談(営業)と入会後のご家庭の対応(CS)です。ご家庭との面談は、雇ったスタッフに任せることもでき、その場合はスタッフにもオーナーと同じ研修を修了してもらいます。本部が代わりに面談することはありません。集客は、自分で集めるか、本部の集客代行(広告費の先払いなし)を選びます。代行の費用は、申し込んだ加盟校のマナビライトの売上全体(受講料・入会金・講習費・教材費)の20%で、今の教室でご自身が教えている授業の売上にはかかりません。代行で受け取る相談の件数は月単位で決まり、生徒数の保証はありません。
例えば、今の教室の講師に面接の練習まで頼もうとすると、教科の授業のコマを削ることになります。誰がどの時間を受け持つかを、週の予定表に書いて確かめてください。
生徒が0人の月に出ていくお金を、先に計算します
少子化の不安は、突き詰めると「生徒が集まらない月に、いくら出ていくか」です。講師の給与や家賃のように、生徒の数に関係なく出ていくお金が大きいほど、立ち上がりの時期が苦しくなります。
マナビライトの場合、毎月の本部への支払いはすべて売上に対する割合で、生徒がいない月の本部への支払いは0円ですが、家賃などの固定費は毎月出ていきます。場所代がかからない間借りなら、物件費はかかりません(間借りは自宅とは別の場所に限り、自宅の一室では開業できません)。募集ページのモデルでは、月謝10万円・教室を持つ場合(固定費 月20万円)に、自分で集めれば3人から、集客を本部にまかせても5人から黒字です(2026年10月時点の募集条件)。税引前の試算で、税金と借入の返済は含みません。教室型の加盟校の実績はまだなく、保証するものではありません。実際の収支は地域・物件・入会の状況で変わります。
家族に開業を相談するときは、生徒0人の月と3人の月の支出を並べた紙を一枚用意すると、不安の大きさを同じ物差しで話し合えます。
少子化と塾の経営について、開業を考える人が抱きやすい疑問に答えます
18歳人口が減れば、総合型・推薦の対策を求める人も減りませんか?
受ける人の総数が減れば、どの入試の対策にも影響は出ます。この入試だけが少子化と無関係だとは言えません。
ただ、文部科学省の数字では、18歳人口が減るなかで大学に入る人の数は2000年度より多く、大学に入る方法の中心は総合型・推薦の側へ動いてきました。全国の人数の先行きを読むより、開く地域にこの入試を相談できる場所があるかを確かめるほうが、判断の材料になります。
小中学生や一般入試の指導をしている教室です。この入試の対策を足す意味はありますか?
評定も活動実績もあるのに、一般入試の選択肢しか出せていない生徒がいるなら、検討する意味はあります。足すかどうかは、そうした生徒がどれくらいいるかと、書類と面接の指導を誰が担うかで決まります。
講師を置かない形の FC なら、今の教室に間借りする形で始められ、場所代が新しくかからなければ物件費はかかりません。講師を雇う必要はありませんが、教室を開けている時間は、オーナーかスタッフのどちらか1人が教室にいることになります。新しくスタッフを置く場合は、その費用が募集ページの収支のモデルの外で加わります。
全国から相談が来ている本部なら、加盟すれば生徒は集まりますか?
集まるとは言い切れません。マナビライトの本部には、2025年10月1日から2026年9月30日までの1年で1万件を超える問い合わせが、47都道府県すべてから届いています。ただし、件数は地域によって差があり、生徒の数を保証するものではありません。
問い合わせが来ても、面談で入会まで進めるのは加盟校の仕事です。開く地域の件数は個別説明会で聞き、その件数で何人の入会を見込むかは、前提を置いて自分で計算します。
大学受験の生徒は高校3年間で卒業します。毎年、生徒を集め直すことになりますか?
なります。大学受験の生徒は、在籍しても長くて高校の3年間で、合格すれば教室を離れます。毎年、新しい生徒と出会う仕組みが要ります。
自分で集めるなら、高校の近くでの案内や紹介など、毎年続けられる方法を開く前に考えます。本部の集客代行を使う場合も、渡す件数は月単位で決まり、渡したあとの面談は加盟校で行います。
少子化の数字は、開く地域の高校生と毎月の固定費に置き換えて判断しましょう
18歳人口は減り続けますが、大学に入る人の数は2000年度より多く、その半分を超える人が総合型選抜か学校推薦型選抜を使っています。大事なのは、その数字を眺めることより、自分の教室の条件に置き換えることです。
避けたいのは、追い風の数字を見て、生徒の数の見込みを先に決めてしまうことです。入試の割合が変わっても、地域の高校生が教室に来るかどうか、書類と面接を誰が見るのか、生徒が少ない月に何が出ていくのかは、別に確かめる必要があります。
今の段階で、開業の時期や教室の場所まで決める必要はありません。まずは、通える範囲の高校を書き出し、指導を任せる先の候補を挙げ、生徒0人の月の支出を計算してみてください。
そのうえで、自分の地域の問い合わせの件数や、教室を持つか間借りするかで変わる収支を知りたい場合は、マナビライトの無料の個別説明会で聞けます。オンラインで30〜60分、お一人でもご家族とご一緒でも参加でき、試算はその場で出します。調べた高校の名前と、今の手元の資金の見当を持っていくと、話を具体的にしやすくなります。