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塾の開業資金はいくら?初期費用の内訳と運転資金の見積もり方

「塾を開くなら、最初にいくら用意すればよいのか」「貯金で足りない分を借りてまで始めてよいのか」。開業を考え始めたころは、金額の見当がつかないまま資料を読むことになり、家族に相談するきっかけもつかみにくいものです。

塾の開業資金は、加盟金や工事費のように開く前に払うお金だけではありません。開いてから生徒がそろうまでの家賃などを払う運転資金も、最初に用意するお金に入ります。募集の資料にある「開業資金」の総額が、運転資金まで含んでいるとは限りません。

この記事では、塾の開業で出ていくお金を6つの費目に分け、公的な調査と、個別指導の学習塾フランチャイズで公開されている金額の幅を確かめます。そのうえで、運転資金の出し方と、初期費用を小さくする手立てを説明します。数字は2026年10月16日時点で確かめたものです。公的な調査の数字と、この記事の提案は分けて書きます。

読み終えたら、費目ごとに自分で金額を入れられる所と、本部や不動産会社に聞く所を分けてみてください。家族に話すときに見せる数字も、その表から作れます。

目次

塾の開業資金の相場は、公的な調査と塾FCの公開値の両方で確かめます

業種を問わない開業費用の分布。250万円未満が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%、500万〜1,000万円未満が29.7%、1,000万〜2,000万円未満が18.5%、2,000万円以上が10.0%(日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」。公庫の融資を受けた開業1年以内の企業が対象)

業種を問わない開業費用は中央値で600万円、個別指導の学習塾FCの公開値は480万〜1,500万円です。ただし、2つの数字は数え方が違うため、そのまま並べて比べることはできません。

公庫の調査では、開業費用の4割以上が500万円未満です

業種を問わない開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円です。分布を見ると、250万円未満が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、合わせて4割を超えます。数字は日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」で確かめられます。

例えば、平均値の975万円だけを見て「1,000万円近く要る」と考えると、借りる額を必要より大きく見積もることがあります。一部の大きな開業が平均を引き上げるため、目安を置くときは中央値も並べます。

ただし、この調査の対象は、公庫が2024年4月から9月に融資した企業のうち、融資の時点で開業から1年以内だった企業です(回答は2,165社)。借りずに始めた人は入っていません。飲食や小売なども含む全業種の数字で、塾だけの金額でもありません。自分の見積もりと比べるときは、この2点を頭に置いてください。

個別指導の学習塾FCの開業資金は、本部によって大きく違います

個別指導・大学受験を扱う学習塾フランチャイズ6社の開業資金を、FC比較サイトの公開値(2026年9月時点)で並べると480万〜1,500万円でした(マナビライト調べ)。運転資金が別に必要な本部は、それを含めた総額で数えています。小中学生向けの学習教室は形が違うため、含めていません。

例えば、ある本部の資料に「開業資金500万円」、別の本部の資料に「800万円」とあれば、前者が安く見えます。けれども、前者が物件の取得費を別にしていて、後者が含んでいるなら、物件を借りた時点で差は縮みます。

比べる前に、それぞれの金額が次の章の費目のどこまでを含むかを本部に聞き、範囲をそろえてください。

開業資金は、開く前に払うお金と、開いてから払う運転資金に分けて見積もります

塾の開業資金の見積もりで確かめたい6つの項目(加盟金に含まれるもの・物件の保証金と前家賃・内装工事が要るか・教材や備品の追加購入・総額に運転資金が入るか・借入の毎月の返済額)のチェックリスト

開く前に払うのは、加盟金・物件の取得費・内装工事・備品・開業前の広告です。開いてから払うのが運転資金です。費目に分けておくと、総額のどこが大きく、どこを削れるのかを本部や家族と話し合えます。

開く前に払うお金は、教室をどう持つかで大きく変わります

加盟金は、フランチャイズに加盟するときに1回払うお金で、研修や開業までの支援、教材やシステムにあてられます。物件の取得費は保証金(敷金)・礼金・仲介手数料・前家賃など、内装工事は間仕切り・照明・空調・配線・看板などです。備品には机・椅子・パソコン・ホワイトボード、開業前の広告にはチラシやWeb広告が入ります。

例えば、駅の近くに新しく部屋を借りて教室を作る場合は、賃貸の契約のときに保証金・礼金・仲介手数料・前家賃がまとめて出ていきます。広い部屋を借りれば、間仕切りや空調の工事の費用も増えます。今ある教室や事務所の空いた時間を使うなら、この2つの費目がかからないこともあります。

ただし、加盟金に何が含まれるかは本部によって違います。研修費・教材・システムを別に払う本部もあるため、加盟金の額だけで判断せず、別払いの項目があるかを確かめます。

運転資金は、黒字になるまでの赤字の月を支えるお金です

塾は、開業した日に生徒がそろうわけではありません。入会が積み上がるまでの月は、売上より支払いが多くなります。その不足分を払うのが運転資金で、家賃・通信費・講師の給与(講師を雇う形の場合)・本部への毎月の支払い・借入の返済などが入ります。

例えば、開業の前に加盟金と物件の費用を払い終えて、手元の現金がほとんど残っていないとします。入会の面談が予定より遅れると、その月の家賃と返済を払うお金が足りなくなります。

公庫の同じ調査では、調査の時点で採算が「赤字基調」と答えた企業が33.0%でした。廃業や失敗を表す数字ではありませんが、開いてしばらくは支払いが売上を上回る月がありうることは、見積もりに入れておきます。

運転資金は、売上がなくても出ていくお金と、黒字までの月数から出します

運転資金の目安は、売上がなくても毎月出ていくお金に黒字になるまでの月数をかけ、入会が遅れたときの余裕を足して出します。これはこの記事が提案する出し方で、公的に決まった計算式ではありません。

売上がなくても出ていくお金を、先に書き出します

毎月出ていくお金には、生徒の数に関係なく決まった額のものと、売上に合わせて増えるものがあります。運転資金を大きくするのは前者で、家賃・通信費・講師の給与・本部への定額の支払い・借入の返済が当たります。

例えば、家賃と通信費に、本部への定額のシステム料と借入の返済が加わる場合は、その合計が、生徒がまだ来ていない月にも出ていく額です。運転資金を計算するときは、この合計を1か月分として使います。

中小企業庁のパンフレット「フランチャイズ事業を始めるにあたって」(2025年6月)は、「収益予測は売上を最小に見積もり、必要経費は最大に見積もることも大切です」としています。保証金や什器・機器のリース、税金が計上されているか、借入の元金と利息の返済まで把握しているかも確かめるよう呼びかけています。本部の試算を受け取ったら、入会を遅めに、経費を多めに置いた数字も自分で作ってください。

黒字になる生徒の数が多いほど、運転資金は大きくなります

黒字になるまでの月数は、入会のペースと、何人で黒字になるかで決まります。一般的な学習塾フランチャイズで公表されている例では、黒字になる生徒の数は8〜30名ほどです(各社の募集ページとFC比較サイトの公開値。2026年9月時点)。

例えば、毎月の入会が同じくらいの見込みでも、黒字に20人要る形では、5人で届く形より赤字の月が長く続きます。その間の家賃や給与を払い続けるぶん、用意する運転資金も増えます。

本部の条件の一例として、マナビライトのFCは教室に講師を置かず、毎月の本部への支払いはすべて売上に対する割合です(教師への指導料20%・ロイヤリティ12%。2026年10月時点の募集条件で、最新は個別説明会でご案内します)。集客は自分で集めるか本部の集客代行を使うかを選び、代行の費用は、申し込んだ加盟校のマナビライトの売上全体(受講料・入会金・講習費・教材費)の20%です。今の塾でご自身が教えている授業の売上にはかかりません。月謝10万円(税別)で教室を持ち、固定費を月20万円(家賃15万円・雑費5万円の想定)と置いたモデルでは、自分で集めれば生徒3人から、集客を本部にまかせても5人から黒字になる試算です。

ただし、生徒がいない月の本部への支払いは0円でも、家賃などの固定費はかかります。教室を開けている間はオーナーご自身かスタッフが1人いる形で、スタッフを置く場合の人件費はこのモデルに入っていません。試算は税引前で、税金と借入の返済を含みません。教室型の加盟校の実績はまだなく、収益を保証するものではありません。実際の収支は地域・物件・入会の状況で変わります。

「費目と運転資金の出し方は分かったけれど、自分の場合はいくらになるのか」。家賃の相場や入会のペースは地域で違うため、一人で数字を置くと、楽観にも悲観にも寄りやすくなります。教室を新しく借りるか、今の場所に間借りするかが決まっていない段階でも、費用の組み立ては確かめられます。

個別説明会で確かめられること

  • ご自身の条件での収支を、その場で試算します
  • 資金の集め方(調達・融資・分割)を、手元の状況に合わせて一緒に考えます
  • 間借りにするか教室を持つかなど、始め方をご一緒に決めます

個別説明会はオンラインで30〜60分で、お一人でも、ご家族とご一緒でも受けられます。費用と条件の全体は加盟オーナー募集のページで確かめられます。試算は保証するものではありません。実際の収支は地域・物件・入会の状況で変わります。

初期費用は、物件の持ち方・内装・払い方を見直すと小さくできます

塾の初期費用を小さくする手立て(間借り・内装工事なし・分割と借入)を並べた図

初期費用を大きくしやすいのは、物件の取得費と内装工事、それに一括で払う加盟金です。この部分は、始め方の選び方で小さくできます。

今ある教室や事務所に間借りすれば、物件の取得費と新しい家賃はかかりません

すでに教室や事務所を持っているなら、空いている部屋や時間を使う方法があります。物件を新しく借りないため、保証金や前家賃が要らず、開業後の家賃も増えません。

例えば、日中は事務所として使っている部屋なら、平日の夜と休日が空いていることがあります。高校生が通うのは放課後の夕方から夜と休日が中心なので、空いている時間と重なるかを確かめます。

ただし、借りている物件で別の事業を始める場合や、ほかの人の物件の一部を使う場合は、賃貸借の契約で使い道や又貸しが制限されていないかを確かめてください。貸主への確認が要ることもあります。

内装工事が要らない形を選ぶと、開業前の工事費と退去時の負担が軽くなります

教室を工事で作り込むほど、開業前の費用は増えます。パーテーションと机とパソコンを置くだけで始められる形なら、内装工事費はかからず、退去するときに元に戻す工事も軽く済みやすくなります。

例えば、講師と生徒が並んで座るブースを何席も作る形では、席の数だけ広さが要り、間仕切りや照明、空調の工事も増えます。生徒が教室のパソコンでオンラインの指導を受ける形なら、席と面談の場所があれば始められます。

ただし、工事が要らなくても、机・椅子・パソコン・回線などの備品は要ります。加盟金に含まれる物と、自分で買う物を分けて書き出してください。

加盟金や物件の費用を分割にすると、手元の現金を運転資金に回せます

開業資金を全額、手元のお金で払う必要はありません。公庫の同じ調査では、開業時に集めたお金の平均は1,219万円で、金融機関などからの借入が平均827万円(67.9%)、自己資金が平均279万円(22.9%)でした。開業時に苦労したことでも、「資金繰り、資金調達」が56.9%で最も高い割合です。

例えば、加盟金を分割にして手元に現金を残せば、開業直後の家賃を払う余裕ができます。その代わり、分割の支払いや借入の返済は、生徒が少ない月にも続きます。

借入には審査があり、借りられる額は人によって違います。分割や借入に手数料や利息がかかる場合は、それも総額に足し、毎月の返済を運転資金の表に入れてください。

マナビライトのFCの場合、開業に必要な総額は、市区町村の1校目の場合300万〜450万円(そうでない場合は400万〜550万円)です。内訳は加盟金と、教室を持つ場合の物件・什器(上限150万円。保証金・敷金など貸主へのお金も含めた目安)で、加盟金は400万円(税別)、市区町村の1校目は、加盟校が10校開校するまで300万円(税別・税込330万円)です。内装工事は要らず、場所代がかからない間借りなら物件費は0円です。間借りには、今の教室のほか、事務所の空き部屋やご自身の持ち物件、使用料を払って人の教室を借りる形も含まれ、自宅の一室では開業できません。使用料を払う場合は、固定費の家賃15万円の所がその使用料に代わります。PCとヘッドセットは、間借りでも同じ時間に指導を受ける生徒の数だけ要りますが、物件の契約のお金がかからないぶん、上限の150万円より少なく済みます。この総額に運転資金は入っていません。黒字になるまでの家賃などは、別に用意します。運転資金の目安は、教室を借りる場合で毎月の固定費の6か月分です。

加盟金と物件・什器は分割にでき、日本政策金融公庫や銀行からの借入も、事業計画の作り方から本部が一緒に組み立てます。分割の回数・条件、借入が通るかどうかはお一人ずつの状況によるもので、融資を保証するものではありません。価格は2026年10月時点の募集条件で、1校目の条件は個別説明会でお問い合わせください。

塾の開業資金について、よく聞かれる疑問に答えます

開業資金は、すべて自己資金で用意しなければいけませんか?

自己資金だけでまかなう必要はありません。公庫の調査でも、開業時の自己資金は平均279万円で、平均調達額の22.9%でした。残りの多くは金融機関などからの借入です(公庫の融資を受けた、開業1年以内の企業が対象)。

例えば、自己資金を加盟金にあて、運転資金を借入でまかなう組み方もあれば、その逆もあります。どちらがよいかは、返済を含めた毎月の支払いが、生徒が少ない月にも回るかどうかで決めます。金融機関や税理士に相談するときは、費目ごとの見積もりを持っていくと話が具体的になります。

運転資金は、何か月分を用意すればよいですか?

どの塾にも当てはまる決まった月数はありません。売上がなくても出ていく毎月のお金に、黒字になるまでの月数をかけ、入会が遅れたときの分を足すのが、この記事の提案です。

例えば、本部の試算どおりに入会した場合と、入会が予定より遅れた場合の2つを並べておくと、どこまで遅れても払えるかが分かります。本部から試算を受け取るときは、毎月何人の入会を置いているかも聞いてください。

フランチャイズと個人で開くのとでは、どちらが安く始められますか?

一概には言えません。個人で開けば加盟金はかかりませんが、教材やカリキュラム、看板、生徒を集める仕組みを自分でそろえることになります。

例えば、教材を自分で作る時間や、開業後に出し続ける広告の費用は、開業資金の表には出てこない費用です。開業時の総額だけでなく、開いてから自分で用意する手間と費用まで含めて比べてください。

本部が示す開業資金に、運転資金は入っていますか?

本部によって違います。運転資金を含めて示す本部もあれば、加盟金と物件の費用だけを示す本部もあります。範囲をそろえないと、総額の比べ方は正確になりません。

マナビライトのFCが示している総額(市区町村の1校目の場合300万〜450万円、そうでない場合は400万〜550万円)は加盟金と物件・什器の合計で、運転資金は入っていません。どの本部に対しても、黒字になるまでの家賃などをいくらと見ているかを、総額とは別に聞いてください。

家族に開業資金の話をするとき、何から見せればよいですか?

総額より先に、支払いが最も重くなる月の数字を見せると、話が具体的になります。開業の前後は、加盟金や物件の支払いと、生徒がまだ少ない月の家賃が重なるためです。

例えば、「総額はいくら」とだけ伝えると、借りるかどうかの話で止まりがちです。費目ごとの表と、入会が遅れた場合の運転資金を並べて見せると、家計から出せる額と借りる額を一緒に決めやすくなります。

開業資金は、教室の持ち方を決めてから、費目ごとに見積もりましょう

塾の開業資金を考えるときは、最初に教室をどう持つかと、講師を雇うかを決めます。この2つで、物件の取得費と内装の費用、運転資金の大きさが変わるためです。

見積もりで抜けやすいのは、総額に書かれていない運転資金です。加盟金と工事費だけで資金の計画を立てると、開業して数か月の家賃や返済を払うお金が手元に残らないことがあります。本部の示す総額が何を含むかを確かめ、運転資金は別の行に書いてください。

今の段階で、すべての金額を決める必要はありません。費目に分かる範囲の金額を入れ、分からない所は空けておきます。空いた所が、本部や不動産会社、金融機関に聞く質問になります。

物件を借りるか間借りにするか、自己資金と分割・借入をどう組むかで迷う場合は、マナビライトの個別説明会で、条件ごとの収支をその場で試算できます。資金の集め方も、手元の状況に合わせて一緒に考えます。埋まった費目と空いた費目をメモにしておくと、説明会の時間を自分の数字の確認に使えます。

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