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【インタビュー】社会学って、なに? 大東文化大学 阿部英之助准教授に聞く、学問の魅力と総合型選抜のリアル

「大学では、何を学ぶのか」——進路に悩む高校生にその問いに正面から答えてくれる大人は、意外と少ないものです。今回お話を聞いたのは、山形県鶴岡市を20年以上にわたって歩き続けてきた、ある研究者。大東文化大学 社会学部の阿部英之助(あべ・えいのすけ)准教授です。フィールドワークを軸に、地域社会や農業高校の研究を続けてきた阿部准教授に、元教え子が直接インタビュー。社会学の魅力、いまの大学受験のリアル、そして高校生へのメッセージを聞きました。

インタビューに応える阿部英之助准教授(社会調査について)
「社会調査は、社会的責任を伴う」と語る阿部英之助准教授
目次

「社会調査は、社会的責任を伴う」——研究人生を変えた、ある一言

阿部准教授が研究者としての道を歩み出すきっかけは、大学3年生のときの社会調査実習でした。大分県の漁村で、調査用紙を見ながら地元の方にこう問われたといいます。

お前さ、これ、お前がこういうふうに調べて、うちらの生活、よくしてくれるのかよ

その一言が、阿部准教授の研究人生を方向づけました。「社会調査は、社会的責任を伴う」と気づいた瞬間だったといいます。学生時代に投げかけられた問いかけが、現在も授業で必ず語られる、教育者・阿部英之助の原点になっています。

単位を取りに行くだけだと思って現地に行ってはいけない。向こうの方は、何かしてくれるんじゃないかと期待しているのだから。それに応えることが社会学の役目だよ、と学生にはいつも伝えています

「社会学って、何でもいいんだよ」——恩師の一言が、進路を決めた

阿部准教授がもともと志していたのは、史学。歴史を学びたかったものの、大学受験で史学科への合格を逃し、社会学部に進学することになります。

社会、社会、社会学部、まあいいや——そのくらいの気持ちで入りました

ところが、入学してから1年生の終わりごろ、阿部准教授は途方に暮れていました。社会学とは、結局なんの学問なのか。その疑問を恩師にぶつけたとき、返ってきた答えはたった一言でした。

ん? 何でもいいんだよ

この言葉が、阿部准教授の世界観を変えます。グローバルな視点から、半径30センチの身近なところまで、何でも研究対象になる——それが社会学だと気づいたのです。当たり前を疑い、もう一度問い直す。それが社会学の本質である——その視点を、いまも学生に伝え続けています。

鶴岡で見つけた研究の原点——20年以上続くフィールドワーク

大東文化大学 社会学部 キャンパスの道
阿部准教授が20年以上歩き続けるフィールドワークの原点

大学4年生のとき、恩師に連れられて訪れたのが、山形県鶴岡市の庄内農業高校です。お笑い芸人ウド鈴木氏の母校としても知られるこの学校で、阿部准教授は衝撃を受けます。

正門を入っていくと、両脇にハウスが並んでいたり、施設園芸の設備があったり。あらゆるところで授業をしている。普通科出身の自分から見ると、こんな高校はないなと

そして、ふと思ったのが、現在も研究テーマの根幹を成す問いでした。

こんなに面白い高校なのに、なんで学生が集まらないんだろう?

この素朴な疑問が、阿部准教授を20年以上にわたって鶴岡市に通い続けさせる原動力となります。地域社会、農業高校、若者の進路選択——テーマは広がりながらも、根っこは「現場で問いを持つ」という、大学時代の経験につながっています。

元教え子が『移住』——学生たちに与え続ける影響

20年以上のフィールドワークの歩みのなかで、阿部准教授には忘れられない元教え子たちがいます。

印象に残っている学生は、鶴岡に移住した元教え子ですね。大学で調査先に移住しちゃった子で——子供も生まれましたよ

調査で訪れた鶴岡が、元教え子にとって『第二のふるさと』となり、卒業後はそこで結婚し、家庭を築きました。同じように移住を選んだ元教え子も、複数いるといいます。

単位を取ったら終わりだと思っていたんですよ。だけど、単位を取ったあとも関わってくれる。これは予想外でした

「大学時代に訪れた場所が、第二のふるさとになるようにしたい——それが私たちの共通する認識です」。阿部准教授の言葉には、教育者としての謙虚さと、長年にわたって学生と本気で向き合ってきた者だけが持てる確信が、同時に滲んでいます。

民間と学術、両方を経験した研究者

阿部准教授のキャリアには、ユニークな2年間があります。博士課程修了後、大学の非常勤講師ではなく、民間の調査会社に身を投じたのです。地域振興計画の策定や活性化策の提案など、アカデミズムの社会学とはまったく違う切り口で報告書をまとめる仕事を経験しました。

プランニングが必須でした。学者だけだとプランニングはやらない。民間で身についたスキルは、今もすごく生きています

一方で、コンサル業務には限界も感じたといいます。「1回の訪問で結論を出して報告書を作る——地域のことを掘り下げて考えるところまではできないんですよ」。その違いを実感した経験が、研究者として鶴岡に20年通い続ける覚悟へとつながりました。学術と実務、両方の社会調査経験を持つ研究者は決して多くありません。

大学の学びは「自分で問いを立てる」こと——高校生に伝えたいこと

進路に悩む高校生に、阿部准教授が伝えたいことは明快です。

高校までの学びと、大学からの学びは違います。高校は教えてもらって理解する学び。大学は、自分で問いを立てて、それを探求する学びです

そして、もうひとつ強調するのが「正解はない」という点。ゼミでの発言も、正解なんて気にする必要はありません。それぞれの考え方があるのだから、どんどん発言してほしい——というのが阿部准教授のスタンスです。

不安を抱える高校生たちには、こう声をかけます。

そんなに構えなくていいんじゃないかな。大学生活は、自分で時間をオーダーメイドできる、自由な4年間。挑戦のための時間ですから

高校時代にやっておくと良い、3つのこと

「高校時代にやっておくと、大学での学びにつながりやすいことはありますか?」——その問いに、阿部准教授は3つを挙げてくれました。

ひとつ、人の話を聞くこと。
ふたつ、メモを取ること。
そして、まとめること。

メモを取ることって、今は意外とやらなくなっているんですよ。それをまとめる力と、人の話をちゃんと聞くこと。最低限、それでいい

総合型選抜で評価されるポイント——准教授が見ているもの

大東文化大学 社会学部 阿部英之助准教授
総合型選抜で准教授が見ているのは、「ここで何を学びたいか」という意志

総合型選抜(旧AO入試)で、阿部准教授が見ているポイントは何でしょうか。

1. なぜ、うちの大学なのか

まず最も重視されるのが、本当に第一志望なのかどうかです。

数ある社会学部の中で、なぜうちなのか。それは知りたい。ちゃんとうちのことをどれだけ調べているのかも知りたい

2. 入学後に何をしたいのか

もうひとつは、入学後の学びの目標。

入って何をしたいのか、何を学びたいのか。将来こういう仕事に就きたい、まで言えれば理想です。でも、高校の段階でそこまで言えない子も多いから、まずは『うちで何をしたいのか』。そこは必ず聞きます

3. オープンキャンパスに来ているか

2年連続でオープンキャンパスに来ました——という子は、こちらとしても取りたくなりますよね。ずっとうちを見てきたんだなって

阿部准教授が繰り返し強調するのは、入学者と大学の「マッチング」です。いかに優秀でも、社会学部の学びと相性が合わなければ、入学後に伸びにくい。逆に、フィットしてくれた学生は、入ってから大きく成長する。だからこそ、お互いを知り、適切にマッチングすることが重要だと、阿部准教授は語ります。

社会学を学ぶと、何が身につくのか

社会学部での4年間が、その後の人生にどのように生きるのか。阿部准教授は、卒業生のエピソードを教えてくれました。

先日、卒業生に会って話を聞いたんです。職場でGoogleフォームを使ってアンケートを取って、分析して、それを出したら、上司にすごく褒められたと。1年目で、よくここまで分析できたなって

社会学部で学ぶ社会調査の知識・技術は、現代のビジネス現場でも直接生きる武器になります。依頼文の書き方、社会人としての電話・メールでのやりとり、ヒアリング、情報を構造化する力——一見すると当たり前のスキルが、社会学の学びを通じてしっかりと身についていきます。

大東文化大学 社会学部では、社会調査士の資格取得も可能です。マーケティングや市場調査が重視される現代において、これらのスキルは大きなアドバンテージになります。

うちの卒業生の就職先は、本当に幅が広いんです。調査系のメディアもいれば、公務員も、メーカーも、商社もいる。社会学が幅広いからこそ、進路も幅広い

「深く考えすぎない勇気を」——阿部准教授からのメッセージ

大東文化大学 社会学部 キャンパスの自然
「深く考えすぎない勇気を」——阿部准教授からのメッセージ

最後に、進路を考えている高校生へのメッセージを尋ねると、阿部准教授はこう答えてくれました。

社会学は、特定の職業に直結する学問ではありません。社会について学ぶのが社会学なので、最初から難しく考える必要はないんじゃないかな。社会に興味があって、幅広く学びたい子には向いています。その気持ちがあれば、それで十分

そして、印象的だった一言を最後に。

いまの高校生は、何でも難しく考えすぎちゃう。深く考えすぎちゃって、わーってなっちゃう。あんまり深く考えずにやる勇気も、大切だと思いますよ

進路、入試、将来。考えるべきことが多すぎて立ち止まってしまっている高校生に、ベテランの研究者は、そっと背中を押してくれます。

大東文化大学 社会学部について

大東文化大学 社会学部 阿部英之助准教授
大東文化大学 社会学部 阿部英之助准教授に話を伺いました

大東文化大学 社会学部では、社会学や社会調査を中心に、地域社会や現代社会の課題を学ぶことができます。フィールドワークを重視する阿部英之助准教授のように、現場での実践を通じて成長できる環境が整っています。

社会学部の最新情報、オープンキャンパスのスケジュール、入試情報については、大学公式サイトをご覧ください。

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