「早稲田の建築を学びたいけれど、AO入試では何を準備すればよいのか」「絵が得意でも活動実績に自信がない」「推薦状や自己PR資料の違いが分からない」。早稲田大学創造理工学部の推薦・総合型選抜を調べる高校生には、こうした悩みが生まれやすいものです。建築への思いを持っていても、それを観察、作品、文章、対話へどうつなげるかで迷うこともあります。
この記事では、建築学科のみを対象とする「早稲田建築AO入試(創成入試)」について、2027年度の公式要項をもとに出願資格、必要書類、筆記試験、面接を整理します。そのうえで、街の観察から鉛筆での空間表現、活動の伝え方、学年別の準備まで、今日から取り組める方法を紹介します。
制度上の決まりと、本記事が提案する練習方法は区別して説明します。読み終えたときに、学校へ確認すること、自分で続けること、第三者に見てもらうことが分かる構成です。早い時期から小さな観察と改善を積み重ね、建築を学ぶ理由を自分の言葉と表現で伝える準備に役立ててください。

早稲田大学 創造理工学部の総合型選抜、何から始める?
早稲田建築AO入試は創造理工学部建築学科の総合型選抜
「推薦」で探す場合も指定校推薦との違いを確認する
早稲田大学創造理工学部の「早稲田建築AO入試(創成入試)」は、建築学科を対象とする入試です。公式サイトでは「総合型選抜(建築AO・特別選抜)」に掲載されています。推薦状は必要ですが、高校が指定を受けていることを前提とする指定校推薦とは別の制度です。
「早稲田大学創造理工学部の推薦」という言葉だけで情報を探すと、指定校推薦の説明や別学科の入試が混ざることがあります。まず理工学術院の入試要項ページで、大学名、学部名、建築学科、入試方式、入学年度の五つを照合してください。
2027年4月入学の募集人員は約25名です。これは目標数で、結果によって合格者数が増減することがあると要項に記されています。この人数だけを使って、自分の合格可能性や必要な作品数を判断することはできません。
2026年10月17日時点では今年度の出願は終了している
本記事の確認日は2026年10月17日です。2027年度入試の出願期間は2026年9月1日から9月8日までで、締切日の消印が有効でした。したがって、確認日時点で2027年度の出願受付は終了しています。本日は公式日程上の第二次選考実施日です。
これから準備を始める人は、次に受験する年度の要項公開後に、資格、書式、日程を改めて確認してください。2027年度の情報は準備の全体像を知る資料になりますが、次年度も同じ条件だとは限りません。この記事中の日付を翌年度へそのまま移して使わないことが大切です。
すでに2027年度を受験している人は、大学から届く個別の案内と公式の更新を優先してください。受験後も連絡先のメールを確認し、合格発表と入学手続を見落とさないようにします。試験終了時刻や個々の受験者の進行状況は、本記事では断定しません。
対象を確かめる
創造理工学部の建築学科のみが対象です。指定校推薦とは別の方式として確認します。
年度を確かめる
2027年度は2027年4月入学を指し、選考は2026年に行われます。
現在地を確かめる
2026年10月17日時点で出願受付は終了し、第二次選考の実施日に当たります。
絵・文章・活動・対話を一つの学びにつなげる入試
第一次選考は書類選考です。第二次選考では120分の筆記試験と面接試験が行われます。書類を整えれば終わる仕組みでも、絵だけで自分を示す仕組みでもありません。自分が何に気づき、どのように考えて行動したかを、異なる方法で伝える準備が必要です。
例えば、学校の共有スペースの使われ方が気になった場合、観察の記録は活動の説明に、改善案は図と文章の練習に、調べて分からなかったことは入学後の学習計画につながります。同じ題材を使う場合も、各書類や試験で求められる役割に合わせて内容を組み直します。
後半では、学校や公共施設などの身近な場所を使って、観察から図と文章へ考えを移す練習を紹介します。特定の題材や言い方を使えば評価が上がるという意味ではありません。練習した日付と直した箇所を残し、次に取り組むことを決めましょう。
出願資格は第一志望・履修条件・大学入学資格を分けて確認
数学と理科の履修条件を調査書と照らし合わせる
2027年度は、創造理工学部建築学科を第一志望とすることに加え、数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学Bを履修済み、または履修中であることが条件です。理科は取得済み、または取得見込みの単位数が合計10単位以上である必要があり、科目は問いません。
確認するときは、時間割の科目名だけで判断せず、学校の先生と調査書に載る科目名・単位数を照合します。「理科を二つ選んだから大丈夫」「理系コースだから満たしているはず」と考えると、学校ごとの編成の違いを見落とすおそれがあります。
海外の高校に在学した経験がある人や、学校独自の科目で数学・理科に相当する内容を学んでいる人には、履修科目の振り替え表・履修内容確認表に関する案内があります。名称が異なる科目を自分だけで置き換えず、学校に内容を確認し、指定書類の説明に従ってください。
出願資格の最終確認には2027年度入学試験要項の3〜4ページを使います。要項の条件をまとめた個人メモを作る場合も、元のページ番号を残すと、先生との確認が進めやすくなります。
評定の数値条件と入学後の基礎学力は別に考える

確認した2027年度要項の出願資格には、「全体の学習成績の状況が何点以上」といった数値の条件は示されていません。ただし、調査書等の提出は必要です。評定の足切り数値が書かれていないことを、学校の勉強や学習の記録が不要という意味に読み替えないようにします。
また、出願に必要な履修条件と、大学の授業が前提にする学習範囲も異なります。要項では、数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C、物理基礎・物理、化学基礎・化学を原則として学んでいることを前提にカリキュラムを組むとしています。未履修の範囲は入学までに身につけておくことが望まれます。
つまり、数学Ⅲや数学C等については、出願資格の数学四科目と混同せず、入学後を見すえた準備として確認します。履修していない分野があるなら、何をいつ学ぶかを学校と相談しましょう。建築の形や材料、力、熱などを考えるうえでも、基礎学習は役立ちます。
出願に必要な履修
数学Ⅰ・Ⅱ・A・Bと、理科合計10単位以上を、履修済み・履修中・取得見込みの条件に沿って確認します。
評定の扱い
2027年度の出願資格に数値基準は示されていませんが、調査書等は必要です。
入学に向けた学習
数学Ⅲ・Cや物理・化学等を含む大学の前提範囲を確認し、未履修部分の計画を立てます。
高校卒業以外の資格や既卒者も該当区分を確認する
大学入学資格については、高校・中等教育学校の卒業者と2027年3月31日までの卒業見込み者が含まれます。このため、現役の高校生だけを対象とする条件ではありません。既卒者は、自分の卒業歴に加えて、必要な科目を履修したことを示す書類を確認します。
ほかに、通常の12年の学校教育の修了者・修了見込み者、外国で12年の学校教育を修了した人・2027年3月31日までに修了見込みの人、またはそれに準じて文部科学大臣が指定した人、文部科学大臣が高校相当と認定した在外教育施設の課程を修了した人や見込みの人、文部科学大臣が指定した人の区分があります。
高等学校卒業程度認定試験等の合格者・合格見込み者で2027年3月31日までに18歳になる人、高等学校卒業程度認定審査の合格者、所定の条件を満たして指定された専修学校高等課程の修了者も、要項の対象区分に含まれます。
さらに、大学による個別の入学資格審査で高校卒業と同等以上の学力があると認められ、2027年3月31日までに18歳になる人の区分もあります。各区分には細かな条件があるため、この要約だけで該当すると判断せず、要項原文と証明書を照合してください。
2027年度は、出願資格が不明な場合の問い合わせ期限が2026年8月28日でした。次年度以降に受験する人も、資格の確認は出願直前まで残さないでください。見込みの資格で出願した場合は、入学までにその取得を証明する必要がある点も重要です。
第一志望条件と他の入試への出願の扱い
第一志望であることは、2027年度の出願資格として明記されています。一方、要項には本入試以外の入試への出願を妨げない旨も記されています。他の入試への出願可否と、第一志望として受験する条件を、同じ意味として扱わないことが必要です。
選考日が重なる場合は受験者がどちらを受けるか判断し、その場合も検定料は返還されないとされています。併願先ごとの専願条件や入学手続条件も異なるため、「早稲田側で出願を妨げない」と分かっただけで、すべての組み合わせが可能と決めないでください。
本記事では、入試を組み合わせることよりも、まず早稲田の建築学科を第一志望とする理由と、そこで学ぶための準備を整理することを勧めます。資格について迷う点は、塾や知人の推測ではなく、当該年度の公式案内に沿って大学へ確認します。
早稲田大学 創造理工学部の総合型選抜、何から始める?
2027年度の日程と出願手続きを一続きで把握する
出願・選考・合格発表の日時を記録する

2027年度の主な日程は、出願が2026年9月1日〜9月8日、第一次選考の合格発表が10月6日、第二次選考が10月17日、最終合格発表が11月3日です。入学年度と実施年が異なるので、予定表には年を省略せずに書いてください。
第一次入学手続期間は2026年11月3日〜11月13日です。第二次入学手続は2027年2月末〜3月中旬の予定として案内されています。合格発表だけを予定に入れると、その後の費用納入や書類手続が抜けるため、保護者とも日程を共有しておきます。
この日程は公式の2027年度早稲田建築AO入試概要で確認できます。今後の変更や個別案内が出た場合は、それらを優先してください。次年度の準備では、前年の日程を目安に余裕を作りつつ、確定日程のように扱わないことが大切です。
郵送と学校発行書類を逆算する
2027年度の出願は郵送のみで、窓口への持参は受け付けないとされています。所定の書類はA4片面で印刷し、指定の宛名ラベルを貼った角型2号の封筒にまとめ、郵便局の窓口から簡易書留で送付する方法です。封筒のサイズと送り方も確認項目に含めます。
準備の順番は、自分で書ける文章からではなく、発行や依頼に時間がかかる書類から考えると安全です。調査書の発行日数、学校の休業期間、推薦者の予定、写真の準備、支払い方法などを先に確認し、各作業に必要な日を予定表へ入れます。
学校の前後期制等により出願時に確定する成績が異なる場合は、要項に扱いが示されています。海外の学校の証明書や翻訳、大学在学者・卒業者の追加書類も、該当する人は確認が必要です。一般的な高校生用のチェックだけで書類を閉じないようにします。
学校へ早めに依頼
調査書の記載範囲、発行日数、履修科目と単位の確認を先に済ませます。
提出形態を確認
A4片面、封筒、宛名ラベル、簡易書留など、内容以外の指定も確認します。
出願後も連絡確認
郵便の追跡情報を保管し、受験票や変更案内が届くメールを確認します。
配慮申請と当日の移動も準備の一部
障がいや疾病等によって受験・就学上の配慮が必要な場合、2027年度は出願前の2026年8月28日までに問い合わせる案内があります。出願後に病気やけが等で受験に支障が生じるおそれがある場合も、速やかな連絡が必要です。早い相談が本人の準備の見通しにつながります。
第二次選考の会場は西早稲田キャンパスで、集合時間や場所は第一次選考の合格発表時に通知されます。筆記試験は10時開始予定ですが、集合時刻が10時という意味ではありません。本人宛ての案内を使って、駅からの移動、受付、必要な持ち物を確認してください。
筆記と面接を同日に実施するため、終了時刻によって遠方の受験者が当日帰宅しにくい可能性も要項に示されています。帰りの交通を極端に余裕のない予定にしないことが大切です。受験資料を持って移動する負担も、事前に実際の荷物で確認しておきます。
志願者自己報告書・活動実績報告書・推薦状を混同しない
自己報告書は志望理由と入学後の計画を自筆でまとめる
出願書類は、入学志願票、調査書等の資格証明書類、志願者自己報告書、活動実績報告書、推薦状が中心です。該当者は履修科目の確認用紙を添え、クレジットカード等で検定料を納めた場合は申込み内容照会結果も必要です。本人の経歴と支払い方法に合わせ、要項の一覧で点検します。
公式サイトのダウンロード欄では「志願者自己活動報告書」と表示されていますが、2027年度の所定用紙と要項中の名称は「志願者自己報告書」です。リンクの名前だけを見て別の書類だと考えず、用紙の中身を確認しましょう。所定用紙は3枚で、Ⅰ〜Ⅳの欄があります。
内容は、Ⅰが志望理由、Ⅱが入学後の抱負、Ⅲが学業等履歴、Ⅳが活動実績です。2027年度の志願者自己報告書では、日本語・横書き・志願者自筆、黒のペンまたはボールペンでの作成が指定されています。
志望理由には、建築学科を志望した理由に加え、早稲田建築AO入試を知って応募するに至った経緯を記すことが要項に示されています。字数の数値指定がなくても、指定の1枚の枠内に収める必要があります。小さい字を詰め込むより、読み取れる大きさで内容を選ぶ練習をします。
入学後の抱負には、学びたい内容と勉強・研究の計画をまとめます。志望理由と同じ思いを繰り返すのではなく、入学後に何を学び、どんな疑問を深めたいかを示します。学業等履歴では、小学校入学からの学歴や該当する職歴を、所定欄の説明に沿って整理してください。
活動実績は七つの履歴と四ページの説明を分ける
自己報告書の活動実績欄は7項目までで、現在から過去へさかのぼって簡潔に記載します。対象となる活動の時期は、現在の自分を伝えるうえで必要なものであれば問わないとされています。学校行事、研究、社会活動、創作、スポーツなど、経験を広く振り返れます。
一方、活動実績報告書はA4片面4ページ以内、書式自由です。自己報告書の活動実績に挙げた中から重要なものを具体的に説明し、最も伝えたい事項から順に並べます。履歴欄と説明資料では並べる順序が違うため、同じ感覚で作らないようにします。
報告書には活動番号を記し、自己報告書のどの活動に対応するか分かるようにします。1ページ目への氏名記載、複数枚の左上1か所のホチキス留めも指定されています。賞状や記事等の根拠資料がある場合は、縮小コピー等を工夫し、4ページの制限内に収めます。
活動を確認するための資料として学校作成の調査書を提出することはできません。必要な調査書と、活動の裏づけ資料は役割が異なります。提出する根拠は、日付、活動名、自分の役割が説明と食い違っていないかまで確認してください。
志願者自己報告書
志望理由、入学後の抱負、学業等履歴、活動実績を所定の3枚にまとめます。
活動実績報告書
出願時に提出するA4片面4ページ以内の説明資料です。活動番号で履歴と対応させます。
自己PR資料
第一次選考合格者が第二次選考当日に持参する別の資料です。出願書類と区別します。
推薦状は本人を具体的に知る一名へ余裕をもって頼む
推薦状は所定用紙A4片面1枚を使い、推薦者は本人の判断で選ぶ1名です。日本語または英語で、手書き・パソコン入力のどちらも可能ですが、署名または捺印が必要です。原本1部を厳封して提出します。推薦者が封をしたものを、自分で開封しないようにしてください。
2027年度の推薦状用紙では、人柄、学業、知的・芸術的な力、大学生活に生かせる資質等について記すよう求めています。有名な人を探すより、本人の取り組みを具体的に見てきた人へ相談する方が、依頼内容を整理しやすくなります。
推薦をお願いするときは、入試名、提出期限、書式、封をして渡してもらう必要があることをまとめて伝えます。自分の活動の年月、役割、工夫、失敗と改善を一枚のメモにして渡すと、推薦者が事実を確認しやすくなります。推薦文を本人が代筆してしまうのは避けます。
「忙しいと思うので明日までにお願いします」という依頼にならないよう、活動の整理と並行して候補者に相談しましょう。推薦者から事実の確認を求められたら、過去の記録に戻って答えます。自分が話したいことと、第三者が見ていた行動の違いも学びになります。
賞の有無より過程を説明できる活動を選ぶ
学科の受験生向けQ&Aには、資格取得や受賞、上位入賞が必須ではなく、そこに至る過程を重視する説明があります。これは、何も記録しなくてもよいという意味ではありません。成果の大きさだけでなく、自分が判断して動いた内容を伝えることが大切です。
部活動で使う道具の配置を変えた、展示の見せ方を仲間と試した、地域の建物を継続して観察した経験でも、目的と工夫を確かめられます。ただし、後から建築に関係があるように無理につなげず、実際に行ったことと、今そこから考えていることを分けて書きます。
活動選びでは、成果、本人の役割、考え直した場面、残っている資料を並べて比較します。大きなイベントに参加しただけの活動より、自分の判断を具体的に説明できる経験の方が、書類作成の材料を整理しやすい場合があります。これは本記事の準備上の助言で、合否の基準を示すものではありません。
建築学科での学びを志望理由と研究計画につなぐ

芸術と工学を横断する学びを自分の疑問から理解する
早稲田大学の建築学科は、建築史、建築計画、都市計画と、環境工学、建築構造、建築生産を含む幅広い分野を扱います。建築学科の概要では、設計製図を中心に、講義や演習を通じて知識を結びつける教育が説明されています。
学部と大学院修士課程を見通す6年間の教育課程という特徴もあります。ただし、学部と大学院が一つの課程に統合されているという意味ではなく、学部4年間で卒業することも可能です。大学院進学には試験が必要であることが学科の案内に示されています。
志望理由では「芸術と工学の両方を学べる」と書くだけで終えず、自分がどの場面で両方の視点を必要と感じたかを説明します。例えば、心地よい窓辺への関心なら、光の入り方だけでなく、暑さ、視線、窓の配置、使う人の行動などに疑問を広げられます。
大学紹介の言葉をたくさん並べるより、自分が見た一つの場面と、まだ説明できない問いを結びつけましょう。「外観の美しさに関心がある」から、「内側で過ごす人の環境まで考えるには何を学ぶ必要があるか」へ進めると、学ぶ目的が具体的になります。
志望理由は経験・疑問・学びたいことの順に下書きする
ここからの文章の組み立て方は、本記事が提案する練習です。最初に、建築に関心を持った場面を短く書きます。次に、その経験だけでは分からなかったことを書きます。最後に、大学の学びのどの部分を通じて、その疑問に取り組みたいかを説明します。
例えば「地域に貢献できる建築を作りたい」という文は、思いは伝わりますが、地域や貢献の中身が見えにくい表現です。「どの地域の、誰の、どんな場面を見たのか」「建築のどの工夫で変えたいのか」を別の紙に書き出し、事実として言える部分を選びます。
自分の経験を強く見せようとして、観察していない人の気持ちを断定しないことも大切です。「高齢者は全員困っていた」ではなく、見た行動や聞いた範囲を明らかにします。まだ聞いていないことは、今後確かめたい疑問として残す方が、文章の筋道を守れます。
志望理由を一度書いたら、建築への関心、早稲田で学ぶ理由、AO入試に応募する経緯がそれぞれ読めるか確認します。きっかけの思い出だけで紙面を使い切らず、今の関心と入学後の学習へつなぐ部分を残してください。
経験を具体化
いつ、どこで、何を見たかを書き、関心の出発点を伝えます。
疑問を言葉にする
経験から分かったことと、まだ調べたいことを分けます。
学びと結びつける
公式の教育内容を確認し、その疑問を深めるために必要な学習を示します。
入学後の抱負は研究テーマ名より学ぶ手順を示す
高校生の段階で、専門的な研究の結論まで完成している必要があると考えなくてよいでしょう。準備では、関心のある問題を調べるために、どんな知識や方法を身につけたいかを整理します。「研究したい」の次に、観察、比較、設計、検証などの行動を書いてみます。
例えば、既存の公共空間の使われ方に関心があるなら、利用の様子を読み取る力、歴史や地域との関係を調べる力、図面で考えを伝える力などが必要になります。現在できることと大学で学びたいことを分けると、学習計画が単なる願望になりにくくなります。
教員名や授業名を挙げる場合は、最新の公式情報で内容を確認します。名前を入れること自体を目的にせず、「その分野を通じて何を理解したいか」まで書きましょう。特定の研究室へ必ず所属できる、希望する授業が必ず同じ形で開講されるとは断定しません。
学科の授業カリキュラムは、基礎から専門へ学びがどう進むかを知る手がかりになります。全科目を暗記するより、自分の関心に近い分野と、今は苦手でも必要になる分野の両方を探す使い方が有効です。
出願条件と準備の優先順位を早めに確認したい方へ
受験相談では、今の学年や活動状況から、最初に確認する条件と今週始める準備を整理できます。
- 出願できる方式と未確認の条件
- 評定・活動・書類のうち先に動く項目
- 志望学部に合わせた準備の順番
第二次選考の筆記・面接・自己PR資料の公式ルール
筆記は120分で鉛筆による表現と文章説明を行う
2027年度の筆記試験は120分です。示されたテーマに対して、鉛筆によるドローイングと文章説明を使って提案・表現を行います。ドローイングとは、線や陰影などで形や空間を表すことです。絵と文章を別々に仕上げるだけでなく、同じ提案を支え合うように考えます。
要項では、空間の描写に加え、社会的な知識と思考力、工学的な観点から筋道立てて考える力なども反映されるものとされています。公式の配点や細かな採点表を本記事が独自に作ることはしません。まずは、描いたものの使い方と、そう考えた理由を説明できる練習が出発点です。
筆記試験のドローイングで使えるのは黒鉛筆と消しゴムです。シャープペンシル、定規、スケッチ用器具等は使用できません。練り消しゴムは使用可能ですが、砂消しゴムは不可です。普段から使える道具だけで描く練習をし、当日だけ不慣れな持ち方にならないようにします。
ティッシュペーパーは、指定された形で衛生用品として使う場合と、絵の線を擦る道具として使う場合で扱いが異なります。後者の使用は認められません。持参可能な物品の細かな条件は、2027年度要項15〜16ページで確認してください。
面接はグループの後に個人で行われる
2027年度の面接は、複数の受験者・面接員によるグループ面接30分の後に、個人面接10分を行う形です。筆記答案についての質問に加え、これまでの活動、学習の成果、意欲も評価対象とされています。必要に応じて本人によるプレゼンテーションが認められます。
発表があると知っても、「全員が必ず同じ長さで最初に発表する」と決めつけて練習しないようにします。活動を短く説明する形、具体的なページを示して詳しく説明する形、質問に合わせて一部分だけ答える形を用意しておくと、伝え方を柔軟に変えられます。
筆記答案への質問があることから、試験中も自分の判断を意識しておくと役立ちます。なぜその場所に入口を設けたのか、どの人の使い方を想定したのか、何を優先して何を残したのかを説明できるようにします。答えを後から飾るより、考えた順序を整理することが大切です。
筆記の形式
120分で鉛筆のドローイングと文章説明による提案・表現を行います。
面接の形式
グループ30分の後に個人10分です。筆記答案と活動・学習・意欲も対象です。
練習の方向
図、文章、口頭説明で、提案の目的や理由が食い違わないか確かめます。
自己PR資料はA4に綴じて原本とコピーを用意する
第一次選考合格者が作る自己PR資料は、創造性、個性、リーダーシップなどを、作品・研究・調査・社会貢献等の活動で伝える資料です。書式と枚数は自由ですが、全体をA4判の大きさに綴じ、表紙右上に受験番号と氏名を記載するなどの指定があります。
A4より大きな資料を含める場合は、A4に折り畳んで綴じ込みます。第二次選考当日に原本とコピー1部を持参し、コピーは受付で提出して返却されません。原本は面接で使い、終了後に持ち帰ります。「自由」という言葉だけを見て、持参の形を自由に決めないようにしましょう。
本人の活動や作品を示す追加資料等の持参も要項には認められていますが、搬入できるのは受験者本人で、台車等は使用できません。ビデオ等の機材を必要とする発表や資料は使えず、プロジェクター・PC等の用意も持ち込みもできません。
そのため、動画や立体作品を中心に活動してきた人は、紙面で制作過程と見せたい特徴が伝わるように整理することが重要です。持参する資料の量は、説明のしやすさと安全に運べることの両面から考えます。枚数が多いほど評価が上がるという根拠はありません。
公式の評価方針から準備の不足を確認する
学ぶ・発見する・創り出す力を行動の記録に置き換える
学科の公式説明では、AO入試を、学ぶ力、発見する力、創り出す力などを多面的に見る制度として説明しています。2027年度要項の求める学生像には、基礎学力を土台に建築を通じた社会貢献を目指すこと、創造性、指導力、行動力などが示されています。
これを準備へ落とし込むときは、「自分は創造的です」と性格を言い切るより、どう学び、何を発見し、どんな案を作り直したかを記録します。「指導力がある」なら、肩書きだけでなく、仲間の意見を聞いて判断した場面や、役割を調整した場面を探します。
次の確認項目は公式の採点表ではなく、本記事が作った準備用の問いです。回答の数や完成度で合格を診断するものではありません。足りない証拠や練習を見つけ、次に行う作業を決めるために使ってください。
- 学びについて、読んだ資料や教わったことを、自分の試行へどう生かしたか説明できますか。
- 発見について、最初は気づかなかった問題を、どの観察から見つけたか説明できますか。
- 創造について、複数の案の違いと、一つを選んだ理由を示せますか。
- 協働について、他の人の意見を受けて、自分の判断を変えた経験を示せますか。
- 学習意欲について、まだ分からないことと、大学で深めたいことを具体的に話せますか。
完成作品だけでなく変更前の案を残す
準備を続ける際は、完成した絵や模型だけを保存するのではなく、途中のメモ、うまくいかなかった図、比較した案も残します。書類や面接で必要になるのは、完成物の見栄えだけでなく、本人が何を考えてその形にしたかを伝える材料だからです。
同じ案を直すときは、変更の日付、直した部分、理由、残った疑問の四つを記録してみましょう。「入口を広げた」だけではなく、「人の行き来が重なると考え、動く場所と待つ場所を分けた」と書けば、判断の内容を説明しやすくなります。
ただし、記録を後から都合よく作り替えたり、実際には行っていない検証を書いたりしてはいけません。まだ実行していないことは「今後の案」、短時間だけ確認したことは「今回見た範囲」と示します。資料の誠実さは、質疑応答で自分の言葉を守ることにもつながります。
公式方針を読む
求める学生像と試験説明から、どの力を伝える必要があるかを考えます。
自分の証拠を探す
肩書きや感想だけでなく、観察・判断・改善の記録を集めます。
次の作業を決める
合否を予測せず、足りない観察や説明を具体的な練習へ変えます。
過去問は年度と方式を確認して読み直す
過去問は早稲田大学入学センターの過去問題ページから確認できます。確認時点では、早稲田建築AO入試の欄に2026・2025・2024年度への案内があります。入学年度と実際の試験年が異なることにも注意します。
例えば2026年度理工学部の入試問題ページには、一般選抜の空間表現と、早稲田建築AO入試・外国学生入試の第二次選考筆記試験が別の欄に掲載されています。建築の問題というだけで同じ欄を開かず、方式名を確認してください。
過去問を開いたら、まずテーマ、提出物、文章の条件、図の条件、時間の指定を自分のメモに分けます。次に、最初の案をそのまま描いたか、複数案を比べたか、図と説明が一致したかを振り返ります。過去の題材を丸暗記して、次の問題にそのまま使おうとしないことが大切です。
公開ページには、著作権等の事情で一部が隠される場合や、公開が遅れる場合の案内もあります。見えない部分を想像で補って公式問題として扱わないでください。本記事の後半の練習は、過去問の転載や次回出題の予測ではなく、表現と思考を鍛えるための独自課題です。
書類、空間表現、活動の整理のうち、どこから手をつけるか迷う場合は、今ある資料をもとに準備の順番を相談すると整理しやすくなります。相談では、次の三点を確認する材料を用意してください。
- 現在の活動や作品から、本人の判断と工夫を説明できる材料は何か。
- 志望理由と建築学科の学びをつなぐうえで、何の確認や調査が不足しているか。
- 学校生活と両立しながら、観察・鉛筆表現・文章・面接をどの順に進めるか。
街と建築を観察して、自分の問いを見つける独自練習
早稲田建築AOに向けて建築への関心を深めたいなら、身近な場所を丁寧に見ることから始めましょう。ここから紹介する内容は、公式の出題例や予想問題ではなく、観察、表現、提案を結び付けるための独自練習です。
特別な建築を訪ねなくても、駅前の広場、図書館の入口、商店街の軒下などを題材にできます。まずは普段使う場所を一つ選び、「誰が、どこで、何をしているか」を記録してみてください。見慣れた景色にも、説明できていない使われ方があります。
最初の一回は、場所を広げず十五分だけ観察する
練習では、一度に街全体を調べようとせず、入口とその前の歩道など、見渡せる範囲に絞ります。最初の五分で形を描き、次の五分で人の動きを記録し、最後の五分で気になったことを言葉にする進め方です。時間配分は、この練習のための目安です。
形の記録では、建物の外観だけでなく、道幅、段差、屋根、植栽、座れる縁なども描きます。寸法を測れない場合は、正確な数字を装わず「人が二人並べる程度」のように書きます。自分の歩幅による概算なら、その測り方も添えてください。
人の動きは、通った方向を矢印、立ち止まった位置を丸で表します。同じ位置で何度も立ち止まる人が見られたら、回数を記録します。ただし、短時間の記録から「いつも混む場所」とは言い切れません。「観察した十五分間では」と範囲を限定します。
個人が分かる顔や会話を集める必要はありません。通行の邪魔にならず、施設のルールに従って観察しましょう。人の使い方を見る練習なので、無断で私有地へ入ったり、利用者に長くカメラを向けたりする方法は選びません。
記録用紙の最後には、天気、時刻、曜日を残します。同じベンチでも、晴れた昼と雨の夕方では利用のされ方が違います。場所の特徴と、その日にたまたま起きたことを分けるために、観察した条件が必要です。
観察した事実と、まだ確かめていない推測を分ける
観察記録は「事実」「推測」「確かめ方」の三つに分けて書くと、提案の根拠を見失いにくくなります。事実は自分が見聞きしたこと、推測はその理由について考えたこと、確かめ方は推測が合っているか調べる方法です。
例えば、「入口横の壁沿いに三人が立っていた」は事実です。「壁があると安心できるから集まった」は推測です。待ち合わせ、日差し、風、施設の案内など、別の理由も考えられます。もっともらしい説明を、観察済みの事実として扱わないことが大切です。
この記録なら、「日陰の位置が変わる時間に再び見る」「壁のない反対側の滞在人数も数える」といった確かめ方を考えられます。利用者への質問は、施設の許可や相手の同意が必要な場合があります。まずは無理なくできる再観察から進めましょう。
添削例として、「この広場は居心地が悪い」を考えます。この一文だけでは、誰にとって、何が問題なのか分かりません。「晴れた昼に十五分観察した間、屋根のない中央には座る人が見られなかった」と直すと、確認した範囲が伝わります。
続けて、「日差しが滞在しにくさに関係している可能性がある。ただし、中央に用事がなかった可能性もある」と書きます。言い切りを避けるだけでなく、別の説明も挙げることが、次の調査や設計を考える出発点になります。
事実のメモ
見えた位置、人数、動きと、観察した日時を残します。
推測のメモ
なぜそうなったかを考え、別の理由も一つ挙げます。
検証のメモ
時間や天気を変えた観察で、何を比べるか決めます。
二つの場所を比べて、形と使われ方の関係を探す
一つの場所に慣れたら、条件が少し違う二つの場所を比べます。例えば、屋根のある待合場所と、近くの屋根のない待合場所です。「どちらが好きか」を決める前に、座る場所、通る場所、日差し、案内の見え方など、同じ項目で記録します。
比較する際は、違いが一つだけとは限らないことに注意してください。屋根のある場所の利用者が多くても、そこにバス停や店があるためかもしれません。屋根だけが理由だと決めず、二つの場所で異なる条件をできるだけ書き出します。
観察後は、「似ている点を二つ、違う点を二つ、まだ分からない点を一つ」という形で短くまとめます。この練習なら、良し悪しを急いで決めずに比較できます。「分からない点」が残っても失敗ではなく、次に見るべき内容が具体的になった状態です。
建築の写真を見る場合も、印象だけで終わらせないようにします。「開放的で魅力的」から一歩進み、「道路から中の活動が見える」「入口まで段差が見当たらない」など、画像から確認できる要素を挙げます。写真に写らない部分は判断を保留します。
観察結果を、建築で考えられる問いに変える
記録を提案につなげるには、「何が問題か」だけでなく「どんな状態に近づけたいか」を書きます。「人が多い」だけでは課題になりません。「通り抜ける人と待つ人が重なり、入口が見えにくくなる」のように、場所と行動の関係に置き換えます。
そこから、「通行を妨げずに待てる場所はつくれるか」という問いを立てます。問いの中に最初から「大きな建物を建てる」といった答えを入れないことがコツです。屋根、椅子の配置、入口の位置など、複数の方法を比べられる余地を残します。
同じ空間でも、急いで通る人、荷物を持つ人、車いすを使う人などでは必要な条件が異なります。本人の気持ちを勝手に断定せず、「この配置では移動の幅が狭くならないか」のように、図で検討できる問いとして扱いましょう。
問いを一つ選んだら、簡単な案を二つ描きます。例えば、「通路の脇に待合場所をつくる案」と「入口から離して待合場所をつくる案」です。二案を比べると、近さ、見通し、雨への対応など、判断に必要な条件が見えてきます。
練習の終わりには、もう一度現地を見て、最初の図と食い違う点を探します。見落とした出入口、掃除の動線、配送の時間帯などが見つかれば、図と問いを更新します。最初の考えを守ることより、新しい情報に合わせて直すことを大切にしてください。
問いを絞る
誰のどの行動を、どの場所で支えたいかを書きます。
二案を比べる
同じ課題に別の方法を出し、良い点と困る点を比べます。
現地で確かめる
見落とした条件を探し、記録と提案を更新します。
空間を鉛筆で伝えるための独自ドローイング練習
鉛筆表現の練習では、絵の細かさだけを目標にせず、「どのような空間で、どう使うか」が相手に伝わる状態を目指します。ここで扱うのは描き方を学ぶ独自の練習であり、特定の構図や表現を本番の正解として勧めるものではありません。
黒鉛筆と消しゴムを使い、定規やシャープペンシルに頼らず描いてみましょう。まっすぐな線だけでなく、奥行き、人との大きさの関係、屋内と屋外のつながりを、少ない線で表す練習を組み合わせます。
身近な箱と机から、奥行きと大きさを確かめる
最初の題材には、箱、本、机など、形を見つけやすい物が向いています。箱を机の上に置き、見えている面を三つに分けて描きます。細部を描く前に、全体の横幅と高さ、上の面がどれくらい見えるかを比べてください。
透視図は、遠くの物ほど小さく見えるように空間を描く方法です。難しい作図から始めなくても、同じ向きの辺が遠くへ行くにつれて近づく様子を観察できます。描いた箱と実物を見比べ、奥の面だけが不自然に大きくなっていないか確かめます。
一枚描いたら、座る高さを少し変えて、同じ箱をもう一度描きます。上から見たときと、低い位置から見たときで、見える面が変わることを体験する練習です。線をなぞって整える前に、視点による違いを説明できるか確認しましょう。
建築を描く段階では、人や椅子を入れて大きさの関係を伝えます。ここでいうスケールとは、物や空間の大きさの関係です。同じ入口でも、人を描き添えると、くぐるような入口なのか、何人も並んで入れる入口なのかが伝わりやすくなります。
人を入れた後に、天井、机、手すりとの関係を見直します。人物だけが極端に小さいと、意図せず巨大な空間に見えることがあります。細かな人体描写よりも、その場所で立つ、座る、移動する様子を無理なく読めることを優先します。
平面図、断面図、透視図を使い分ける
平面図は、建物や場所を上から切って見たように表す図です。入口、壁、家具、通路の配置を説明するのに向いています。練習では、自宅の一室や教室を思い浮かべ、どこから入り、どこを歩き、どこに座るかを描いてみましょう。
断面図は、空間を縦に切って横から見たように表す図です。床の高さ、屋根の高さ、段差、上下のつながりを説明できます。例えば、高い位置の窓から光を取り入れる案なら、平面図だけでなく断面図を添えると仕組みが伝わります。
透視図は、人がその場所にいるときの見え方を伝えるのに役立ちます。ただし、見えていない奥の部屋や壁の裏側までは説明しにくい図です。一つの図で全部を伝えようとせず、提案のどの部分を説明したいかによって使い分けます。
三つを練習する際は、別々の空間を描くのではなく、同じ小さな待合場所を描いてみます。平面図で描いた入口が透視図にもあるか、断面図の屋根の高さが透視図と合っているかを確かめます。図同士の一致を確認する練習です。
添削例として、文章で「通り抜けられる」と書いたのに、平面図には一つしか入口がない状態を考えます。矢印を書き足すだけでは解決しません。出口を設けるか、文章を「入って戻る場所」に直すか、空間そのものの説明をそろえます。
配置を伝える図
平面図で入口、家具、通路と人の移動を整理します。
高さを伝える図
断面図で床、屋根、窓と上下の関係を説明します。
体験を伝える図
透視図で人の目の高さから見える空間を示します。
線の強弱と余白で、伝えたい順番をつくる
描き込む前に、何を最初に見てほしいかを決めます。屋根の下で人が待つ提案なら、屋根、待つ場所、通路の関係が主役です。遠くの建物や植木の葉を先に細かく描くと、肝心の仕組みを描く時間が足りなくなります。
練習では、最初に薄い線で全体を置き、次に主要な輪郭を少し濃くし、最後に必要な影を加えます。すべての線を同じ濃さにしないことで、手前と奥、主要部分と背景を分けやすくなります。濃く塗る面を増やすこと自体が目的ではありません。
影を使うときは、光が来る向きを一つ決めます。複数の場所で影の向きがばらばらだと、立体の形が読み取りにくくなります。影で空間を説明したいのか、単に画面を埋めようとしているのか、一度手を止めて確かめてください。
紙面の余白には、短い説明や矢印を置けます。ただし、矢印だけでは意味が分からないことがあります。「風」「人の移動」「視線」のように、何を表す矢印かを書き添えます。同じ図で違う意味の矢印を使うなら、区別できる表し方にします。
三分ほど離れてから図を見直し、最初に目に入る部分を確認します。伝えたい仕組みより背景の木が目立つなら、主役の線を整理したり、説明の位置を変えたりします。描いた本人以外が読むことを意識するための、小さな点検です。
一枚を描き直して、空間の説明が改善したか検証する
練習では、毎回新しい絵を描くだけでなく、同じ案を一度描き直しましょう。一枚目で伝わらなかった点を一つ選び、二枚目ではそこを改善します。「すべてを上手くする」より、「入口の位置を分かるようにする」のほうが修正を確かめやすくなります。
例えば、屋根が宙に浮いたように見えるなら、支える柱や壁を考えます。柱を加えた結果、通路が狭くなれば配置も直します。見た目の不足を埋める修正が、使い方の検討につながるところに、建築を描く練習の意味があります。
屋根から落ちる雨水や、窓を開ける向きにも目を向けます。詳細な構造計算ができなくても、「雨が人の待つ場所へ落ちないか」「開いた扉が通路をふさがないか」は図から考えられます。分からない技術は、分からないと記録して調べる対象にします。
可能なら、図だけを家族や友人に見せ、「どこから入ると思うか」「ここで何をすると思うか」を尋ねます。「上手いか」と聞くより、伝わり方を確認できます。相手が読み違えた部分を、相手の知識不足と決め付けず、自分の図の改善材料にしましょう。
描き直しの後は、修正前後を並べて、一文で変化を記録します。「柱を二本加え、屋根の支えと入口の幅を説明できるようにした」といった具体的な記録です。枚数だけでなく、何を直せるようになったかを残すと、次の練習が決まります。
修正点を一つ選ぶ
入口、支え、高さなど、説明不足の部分を絞ります。
図で直して確かめる
修正が通路や人の使い方に与える影響も見ます。
他者の読み方を見る
図だけで伝わった内容と、伝わらなかった内容を比べます。
観察から建築提案の文章を組み立てる独自練習
建築の提案文では、思い付いた形を説明するだけでなく、「なぜその形や配置を選んだのか」を伝える練習が役立ちます。以下は文章の組み立てを学ぶ独自の方法です。決まった型を使えば評価される、という意味ではありません。
最初は、観察した場面を一つ選び、困っている行動、つくりたい状態、空間の工夫を順に書きます。図では見えにくい理由を文章で補い、文章だけでは分かりにくい配置や高さを図で示すことを意識しましょう。
課題、提案、理由を一続きにして書く
書き出しでは、課題を大きくしすぎないことが大切です。「地域を活性化する」は目標として広く、何を変えるのかが見えにくい表現です。「買い物の途中で休める場所が少ないため、短時間座れる場所を設ける」とすると、対象となる行動が見えてきます。
次に、具体的な空間の工夫を書きます。「快適な場所をつくる」だけで終わらせず、「歩道から少し離れた位置に腰掛けを置き、その上に屋根を設ける」と説明します。位置、形、向き、つながりのどれを変えるかを言葉にすると、図とも結び付きます。
理由には、提案と効果の間にある仕組みを書きます。「屋根を設けるので人が集まる」では、間の説明が飛んでいます。「雨や直射日光を避けて短時間休めるようにする」と書くと、屋根がどの行動を支えるのかが具体的になります。
そのうえで、「利用者が増えるかは、場所や時間帯によって変わるため、設置後に確認する」と続けられます。建築の工夫が、すべての社会的な問題を解決するわけではありません。期待する変化と、まだ確かめていない結果を分ける書き方を練習しましょう。
文章を書き終えたら、課題と提案にそれぞれ線を引き、対応しているか見直します。課題が「道に迷いやすい」なのに、提案が座席の増設だけなら、つながりが弱い状態です。案を変えるか、課題の捉え方を再検討する必要があります。
抽象的な表現を、図で確認できる説明に直す
添削の練習では、「誰もが使いやすい開放的な交流空間をつくります」という文を具体化してみます。「誰もが」「使いやすい」「開放的」「交流」は便利な言葉ですが、それぞれ何を指すかが違うままでも、文章が成立したように見えてしまいます。
例えば、「道路側から内部の活動が見える窓を設け、入口の前に立ち止まれる余白を取ります」と直せます。これは、見え方と入口の使い方に絞った説明です。ただし、見えることを好まない利用者もいるため、全方向を透明にすればよいとは限りません。
続けて、「静かに過ごす席は通路から離し、窓の一部には視線を遮る面を設けます」と補うと、異なる使い方への配慮が表れます。何でも盛り込むのではなく、提案の中心となる利用場面に関係する工夫から選びましょう。
「地域らしさ」という言葉を使う場合も、根拠を置きます。周辺に多い材料、軒の高さ、店先での過ごし方など、観察や資料で確認した内容とつなぎます。単に木を使うだけで地域らしいと言い切らず、なぜその場所でその選択をするのか説明します。
文章を見直すときは、形容詞をすべて消す必要はありません。「明るい空間」と書くなら、どこから光を取り込むかを補います。感覚を表す言葉と、その感覚を生み出す具体的な工夫を組み合わせることで、読み手が空間を想像しやすくなります。
課題を具体化する
大きな社会問題から、場所と行動に関わる課題を選びます。
仕組みを説明する
形や配置の工夫が、使い方にどうつながるかを書きます。
結果を言い切らない
期待する効果と、実施後に確かめる内容を分けます。
社会の問題と、空間の工夫の距離を考える
社会について調べたことを提案に生かすときは、知識を並べるだけにならないようにします。例えば、暑さへの対応を考えるなら、その場所の屋外で誰がどのくらい待つのか、既に日陰があるのかなど、具体的な利用場面との接点を探します。
資料に載っている全国的な傾向が、そのまま観察した場所にも当てはまるとは限りません。資料の対象地域、調査年、対象者を確認し、「資料ではこう示されている」「現地ではここまで確認できた」と分けます。数字を使うなら、参照先を残してください。
また、交流の機会が少ないという課題に対して、建物をつくるだけでは利用が始まらない場合があります。誰が開け閉めするか、何をする場所として知らせるか、使わない時間はどう管理するかまで考えると、空間と運営の関係が見えてきます。
運営とは、施設や活動を実際に続けるための仕事です。提案文では詳細な事業計画まで広げなくても、「日常の清掃がしやすい配置にする」「催しのない時間にも休憩できる」といった使い続ける条件を検討できます。
一方で、課題によっては、建築以外の方法が適していることもあります。案内の言葉を変えるだけで改善する問題に、大きな増築が必要とは限りません。建築的な変更を行う理由を、より小さな変更と比べて説明してみましょう。
利点と弱点を並べて、提案を一段深くする
提案ができたら、その案で困る人や場面を一つ探します。屋根を大きくすれば雨を避けやすくなる一方で、周辺の採光を妨げるかもしれません。座席を増やすと休める人は増えますが、配置によっては移動しにくくなる可能性があります。
このように、一方を良くすると別の条件が難しくなることがあります。言葉を覚えることより、「何を優先し、何をどう補うか」を考えることが重要です。弱点を書くことは、案を否定することではなく、成立する条件を明らかにする作業です。
練習では、「利点」「気になる点」「対応」の三文を加えてみます。「屋根を深くして雨を避けます。室内が暗くなる可能性があります。高い位置にも採光できる部分を設け、断面図で光の入り方を検討します」という形です。
ただし、「工夫する」「配慮する」と書くだけでは対応になりません。何の位置や大きさを変えるのかを一歩具体化します。反対に、根拠のない安全性や性能を保証する必要もありません。専門的な確認が必要な部分は、検討事項として残します。
最後に、文章を読んだ人に提案を一文で言い直してもらいます。自分が伝えたい課題と方法が残っていれば、骨組みは伝わっています。意図と違う内容になったら、文章を長くする前に、冒頭の課題と中心となる工夫を整理しましょう。
別の方法と比べる
小さな配置変更や運営の工夫でも解決できないか考えます。
弱点を一つ挙げる
利点の裏で困る利用者や、成立しにくい条件を探します。
対応を図に戻す
文章で加えた工夫を図にも反映し、説明をそろえます。
120分で観察、ドローイング、文章をつなぐ独自練習
個別の練習に慣れたら、120分を使って、課題の整理から図と文章の見直しまで行ってみましょう。以下の題材、時間配分、点検方法はすべて独自の練習案です。公式の予想問題や、合否を判断する基準ではありません。
ここでは、「雨の日にも短時間待てる、身近な公共施設の入口まわりを考える」という練習用の題材を使います。実在する施設の改修を実施する計画ではなく、観察した空間を基に考える演習です。分からない条件は、仮定として明記します。
開始前に、観察メモと練習の条件をそろえる
練習前に、入口、通路、屋根、段差などが分かる観察メモを用意します。写真だけでは読み取れない寸法や管理条件があれば、「未確認」と書きます。調べていない情報を、思い付いた数字で埋めないことが大切です。
条件は多くしすぎず、「歩く人の通路を残す」「入口を見つけやすくする」「雨を避けて待てる」の三つに絞ります。利用人数や敷地の広さを仮に設定する場合は、問題から与えられた条件と混同しないよう、「練習上の仮定」として別に書きます。
手元には黒鉛筆と消しゴム、練習用の紙、時間を確認できるものを用意します。途中で参考画像を探すと、考える時間と調べる時間が混ざります。この回は用意したメモだけで進め、足りない知識は終了後に調べる項目として残しましょう。
始める前に、今回の練習で確かめたいことを一つ決めます。「文章と図の入口位置を一致させる」「最後の見直し時間を残す」などです。すべての技術を一度に改善しようとせず、終了後に変化を判断できる目標にします。
最初の三十分で、条件整理と二案の比較を行う
開始から十五分までは、題材と観察メモを読み、確認済みの条件、仮定、分からない点を分けます。そのうえで、「通行を妨げずに雨を避けて待てる場所をつくる」といった中心の課題を一文にします。まだ完成図を描き始める必要はありません。
次の十五分では、小さな案を二つ描いて比べます。一案は入口に近い待合場所、もう一案は通路から離した待合場所というように、配置の考え方を変えます。外観だけ違う二案より、使い方の違いを比較できる二案にしましょう。
比べる項目は、最初に決めた三つの条件です。入口への近さだけで選ぶと、通路をふさぐ問題を見落とすかもしれません。図に人の移動と待つ位置を書き、雨を避けられる範囲も示すと、案の違いが整理できます。
三十分になったら、選ぶ案と、その理由を短く記録します。「入口に近いから」だけでなく、「既存の通路を残しながら、入口を見渡せるため」のように書きます。選ばなかった案の良い点も一つ残すと、後で修正するときの材料になります。
十五分まで
確認済みの条件、仮定、不明点を分け、課題を一文にします。
三十分まで
使い方の異なる二案を描き、共通の条件で比べます。
選択の記録
選んだ理由と、まだ解決していない点を短く残します。
次の七十分で、図と文章を往復して仕上げる
三十分から六十五分までは、選んだ案の図を描きます。まず配置と人の動きを示し、次に屋根の高さや支えを検討します。すべての図を同じ大きさで描く必要はありません。今回の提案を説明するうえで、重要な図を中心に配置します。
この段階で、柱が待つ場所に重なったり、屋根から落ちる雨が入口に集まったりすることに気付くかもしれません。図を清書する作業と割り切らず、気付いた不具合を直します。変更した点は、文章の下書きにも短くメモしてください。
六十五分から九十分までは、課題、提案、理由、残る検討事項を文章にします。文章量を先に増やすより、何を実現したいかが一続きに読めることを目指します。観察した事実を根拠に使う場合は、日時や確認できた範囲を忘れずに添えます。
九十分から百分までは、図と文章を突き合わせます。文章にある屋根、座席、通路が図にもあるかを確認します。「入口を見渡せる」と書いたなら、その位置に座った人の視線を図で考え、柱や壁が妨げないか見直します。
途中で時間が足りなくなったら、背景の描き込みより中心の説明を優先します。図の不足を長い文章だけで補うのでも、理由の不足を大きな透視図だけで補うのでもありません。課題、方法、空間の関係が読み取れる最低限の説明を残します。
最後の二十分で、読めるか、成り立つかを点検する
百分から百十分までは、読み手の立場で確認します。最初に見るべき図と文章が分かるか、文字が小さすぎないか、矢印の意味が明確かを見ます。自分では意味が分かっていても、書かれていない情報は読み手に伝わりません。
百十分から百二十分までは、案の成立条件を点検します。入口まで歩けるか、扉を開ける場所があるか、待つ人と通る人が重ならないか、屋根を支える部分が説明されているかを見ます。専門的な性能の保証ではなく、基本的な矛盾を探す時間です。
問題が見つかったら、その場で直せるものと、追加調査が必要なものを分けます。入口の描き忘れは修正できますが、未確認の敷地境界を都合よく動かすことはできません。後者は仮定や検討事項を明らかにし、分からない点を隠さないようにします。
終了時刻になったら、いったん手を止めます。その後に加筆するなら、時間内に完成した部分が分かるよう記録しておきましょう。後から整えた作品だけを見ると、時間内にどこで止まったのかが分からなくなり、次の練習の改善点を見失います。
終了後は、点数を付けるより原因を一つ特定する
振り返りでは、「上手くできなかった」で終わらせず、止まった場面を探します。二案から選べなかったのか、空間の高さを描けなかったのか、図を描いた後で文章の課題が変わったのか。結果だけでなく、作業が難しくなった理由を言葉にします。
例えば、文章を書く時間が足りなかった場合、単に書く速度が遅いとは限りません。最初の課題が曖昧で、何を説明するか決まっていなかった可能性もあります。次回は開始十五分の課題整理を改善するなど、原因に合う練習に戻りましょう。
見直しの結果は、「できたこと」「食い違ったこと」「次に試すこと」の三項目で記録します。「図は完成したが、文章にある座席が図にない。次は文章の名詞を図上で確認する」というように、次の行動が具体的になる形が役立ちます。
同じ題材で再練習する場合は、変える条件を一つに絞ります。待つ人数、雨の向き、利用時間帯などの一つを変え、案がどう変わるか考えます。前の図をそのまま覚えて描くのではなく、条件に合わせて選び直せるかを確かめるためです。
時間内の状態を残す
終了時点の図と文章を保存し、後の加筆と区別します。
原因を一つ見つける
時間不足や説明不足が、どの作業から生じたか考えます。
次回の条件を決める
修正点か変更条件を一つ選び、改善したか比較します。
早稲田建築AOの自己PR資料は「作品の数」より考えた道筋を伝える
早稲田大学建築学科のAO入試に向けて自己PRを準備するときは、作品をたくさん並べる前に、自分が何を見て、どんな疑問を持ち、どう確かめたかを整理します。完成品の見た目だけでは伝わりにくい考えを、写真、短い文章、図などで補うことが大切です。
ここから紹介する資料のまとめ方や発表の段取りは、準備のための独自の練習例です。大学が指定する資料の形式や、当日の発表方法を表すものではありません。実際に使う資料は、その年度の募集要項などで持参物や条件を確認して整えてください。
自己PRの中心になる経験を一つ選び、周りの活動とつなげる
最初に、自分が時間をかけて取り組んだ経験を一つ選びます。建築に関係がありそうな活動を無理に作るのではなく、普段の生活で気になった場所、学校で続けた活動、自分で作って試したものなどから考えてみましょう。
経験を選ぶときは、「なぜ始めたか」「途中で何に困ったか」「自分で何を変えたか」を説明できるか確かめます。賞の有無や作品の大きさだけで決めると、質問されたときに自分の考えを話しにくくなることがあります。
中心となる経験が決まったら、ほかの活動との共通点を探します。例えば、文化祭の展示と通学路の観察に取り組んだなら、どちらも「人が立ち止まる場所への関心」につながるかもしれません。ただし、実際には考えていなかった理由を後から作らないことが大切です。
写真や図には「自分がしたこと」が分かる説明を添える
写真だけを見せると、何を伝えたいのかが相手に届かない場合があります。制作したものなら、制作の目的、自分が担当した部分、変更した箇所を短く添えます。観察の写真なら、いつ、どこで、何に注目したのかを記しておきましょう。
複数人で取り組んだ活動では、チーム全体の成果と自分の担当を分けます。「展示を作りました」だけで終わらず、「私は入口の案内図を担当し、初めて来た人に見てもらって配置を変えました」と説明すると、自分の行動が伝わりやすくなります。
完成品だけでなく、途中の案や作り直した部分も残します。最初の考えがうまくいかなかった理由と、その後の変更を並べると、試行錯誤が見えるからです。失敗を立派な話に変える必要はなく、分かったことと、まだ解決していないことを分けて書きます。
借りた画像や参考にした本を使う場合は、自分の制作物と区別できるように出典を残します。出典とは、情報をどこから得たかを示すことです。他人の考えを自分の発見のように書かず、参考にした点と自分で考えた点を分けてください。
中心を選ぶ
一番説明したい経験を選び、始めた理由と途中の変化を確かめます。
役割を分ける
共同制作では、全体の成果と自分が担当した作業を区別します。
過程を残す
完成写真だけでなく、初期案や修正の理由も整理します。
読み手が迷わないように一つのページの役割を決める
資料を編集するときは、一つのページで伝えたいことを一つに絞ります。「活動の紹介」「気づいた問題」「試した方法」「振り返り」など、ページの役割を決めてから写真と文章を選ぶと、情報を詰め込みすぎるのを防げます。
まず紙に小さな四角を描き、各ページに置く内容を短い言葉で並べてみます。この段階では、細かい色や文字の形に時間をかけなくて大丈夫です。話の順番を先に決めると、後から資料を直す負担を減らせます。
資料を初めて見る人に渡し、何についてのページかを説明してもらう確認も役立ちます。自分の説明を先に加えると、分かりにくい箇所を見つけにくくなります。相手が迷った場所を聞き、見出し、順番、言葉のどこを直すか考えてください。
発表練習は短い説明から始め、質問に合わせて広げる
自己PRの説明は、最初から長い原稿を暗記するより、伝えたい内容を短く言える状態を目指します。独自の練習として、「何に取り組んだか」「一番考えたこと」「そこから生まれた疑問」の三つを順番に話してみましょう。
次に、相手の求める詳しさに合わせて説明を広げます。まず要点を伝え、必要なら制作方法や観察した場面を補う練習です。短い説明と詳しい説明の両方を用意すると、質問への答えに関係のない話を続ける癖にも気づきやすくなります。
練習用に時間を区切ることは役立ちますが、それを本番の固定された発表時間だと考えてはいけません。自分で設定した短めの時間と長めの時間を使い、同じ経験を違う長さで伝えます。当日は大学側の指示や質問に合わせて対応してください。
声を録音したら、話し方の上手さだけでなく、聞き手が具体的な場面を思い浮かべられるかを確認します。「工夫しました」「学びました」が続いていたら、何を変えたか、前と後でどう違ったかを一つ加えると、内容が明確になります。
順番を整える
活動、考えたこと、残った疑問の順に短く説明してみます。
長さを変える
練習用の時間を変え、要点と詳しい説明を使い分けます。
聞き返して直す
録音を聞き、あいまいな言葉を具体的な行動に置き換えます。
グループ面接・個人面接は「立派な答え」より対話の練習を重ねる
面接対策では、質問を当てようとするより、自分の経験や考えを相手に伝え、聞かれた点に答える練習を重ねます。用意した文章をそのまま話すだけでは、少し違う聞き方をされたときに答えがずれてしまうことがあります。
以下の質問は、考えを整理するための独自の練習例です。早稲田大学建築学科の本番で必ず聞かれる質問や、大学が公表する質問集ではありません。面接の実施条件は公式情報で確かめ、練習内容と分けて扱いましょう。
自分の経験を「事実・考え・次の課題」に分けて話す
経験を説明するときは、まず何が起きたかという事実を伝えます。その後に、自分がどう考えたか、これから何を確かめたいかを続けます。この三つを分けると、観察したことと、自分の想像が混ざるのを防ぎやすくなります。
例えば、「広場が使いにくいと思いました」だけでは、理由が分かりません。「見に行った時間には日陰の席に人が集まっていた」「暑さが座る場所の選び方に関係すると思った」「別の時間にも見てみたい」と分ければ、考えの道筋が伝わります。
練習相手には、「そう考えた理由は何ですか」「別の見方はありますか」と聞いてもらいましょう。答えに詰まったら、言い方だけを整えるのではなく、根拠となる記録があるかを確認します。分からない点が見つかったこと自体を、次の準備に生かせます。
グループで話す練習では聞く役割と発言する役割を両方試す
グループ面接に備える練習では、複数人の前で自分の考えを話すだけでなく、人の話を最後まで聞くことも意識します。ただし、グループ面接を討論や共同作業と同じ形式だと決めつけてはいけません。実際の進め方は当日の指示に従います。
学校の友人などと練習するなら、一人ずつ同じ質問に答え、その後で聞き取った内容を短く確認します。自分の答えを考えることに集中しすぎると、直前の人の話を聞けていない場合があります。聞く時間と話す時間を切り替える練習になります。
他の人と答えが重なっても、違う意見を無理に作る必要はありません。自分の経験や理由を具体的にすれば、同じ結論でも説明は変わります。逆に、意見が違うときは、相手の考えを否定するだけでなく、自分が見た場面や判断の理由を伝えます。
事実を示す
実際に見たことと、その場で考えたことを分けて説明します。
話を聞く
自分の答えを準備しながらも、相手の発言を最後まで聞きます。
理由を足す
結論が重なっても、自分の経験から理由を具体的に伝えます。
個人面接に向けて資料と答案の考え方を振り返る
個人で受け答えをする練習では、自己PR資料のどこを聞かれても、自分の言葉で説明できるかを確かめます。すべての文章を覚えるのではなく、なぜその経験を選んだのか、どの部分で迷ったのかを思い出せる状態を目指しましょう。
練習で書いた文章や描いたものも、仕上がりだけを確認して終わらせず、考えた順番を残しておきます。「最初に何に注目したか」「別の案を選ばなかった理由」「今なら何を直すか」を説明すると、自分の考えを振り返る練習になります。
練習用の問いとしては、「この案で一番大事にしたことは何ですか」「使う人が変わったら何を変えますか」「時間をかけて調べたいことはありますか」などが考えられます。これらは答えを丸暗記するためではなく、自分の見方を広げるための問いです。
答えに詰まったときの対応まで練習に入れる
質問の意味が分からないときは、分かったふりをして長く話すより、どの点を聞かれているのか確認する練習をします。聞き返す言葉そのものを飾る必要はありません。「制作の進め方についての質問でしょうか」と、確認したい点を短く伝えます。
知識が足りないときは、知っていることと分からないことを分けます。聞いたことがある言葉を無理に使うと、追加の質問で説明できなくなりがちです。考える手がかりがあるなら、その範囲を示してから、自分なりの考えを伝えましょう。
面接の振り返り表には、「答えられた質問」「答えがずれた質問」「事実を確認する必要がある質問」を分けて記録します。緊張したかどうかだけでは、次の練習の目標が決まりません。毎回一つか二つ、直す内容を選んで取り組みましょう。
資料を振り返る
選んだ理由、迷った点、作り直した部分を自分の言葉で確認します。
不明点を確認する
質問の意味や知識の不足をごまかさず、分かる範囲を示します。
次の目標を決める
練習後は直す点を絞り、次回に変化を確かめます。
早稲田建築AOの準備は学年別に小さく始め、記録を積み重ねる
自己PRや面接で伝える材料は、短期間で形だけをそろえるより、日頃の観察や制作を積み重ねる中で育てることが大切です。早い時期から少しずつ始めると、やってみて疑問を持ち、調べ直し、もう一度試す時間を確保しやすくなります。
ただし、早く始めることを、最初から大きな作品や完成した志望理由を作ることだと考える必要はありません。学年や学校生活に合わせて、今できる小さな行動を選びます。以下は準備の進め方の例であり、合格に必要な活動量を示すものではありません。
中学生から高校一年生は身近な場所への疑問を残す
中学生や高校一年生の段階では、建築の専門用語を増やすことだけを目標にせず、身近な場所をよく見る習慣をつけます。学校の廊下、駅前の広場、図書館の席など、毎日使う場所にも考える材料があります。
例えば、「なぜこの入口に人が集まるのか」「同じ教室でも座る場所で感じ方が違うのはなぜか」といった疑問を、日付とともに短く書きます。すぐに答えを出せなくても大丈夫です。気づきを残すと、後から見直したときに関心の変化が分かります。
簡単な模型や絵で試すことも、考えを確かめるきっかけになります。大きく作ることより、「入口の位置を変えるとどうなるか」など、試したいことを一つ決めます。制作が好きか、観察が好きか、自分の取り組みやすい方法を知る時期として使いましょう。
高校二年生は関心を一つ深め、調べることと試すことを往復する
高校二年生では、それまでの記録から、続けて考えたい問いを一つ選んでみます。「建築が好き」から少し進み、「人が落ち着いて待てる場所に関心がある」など、自分が何を知りたいのかを具体的にしていきます。
問いが決まったら、本で調べる、別の場所と比べる、小さく作って確かめるなど、方法を組み合わせます。一つの方法だけで結論を急がず、調べて分かったことを次の観察や制作に生かします。途中で問いが変わった場合も、その理由を記録してください。
この時期には、人に説明する機会も作ります。友人や先生に、何を調べているかを短く話してみましょう。「なぜそれが気になるのか」と聞かれて答えにくければ、自分の関心がまだ広いのかもしれません。説明することも、問いを絞る手段になります。
早く小さく始める
完成品を急がず、日常で気になった場所を短く記録します。
一つ深める
関心のある問いを選び、調べることと試すことを重ねます。
人に話す
説明して伝わりにくかった点から、自分の問いを見直します。
高校三年生は提出物と練習を逆算し、修正の時間を先に取る
高校三年生では、公式情報で確認した日程と条件をもとに、準備する項目を一覧にします。資料を作る日だけでなく、先生に相談する日、事実を確かめる日、読み直す日を分けて予定に入れます。修正する時間も、最初から必要な作業として扱いましょう。
作業は「自己PRを仕上げる」のような大きな単位ではなく、「写真を選ぶ」「担当した作業を確かめる」「説明文を短くする」と分けます。終わったかどうかが分かる形にすると、時間が足りないときに、何を先に進めるか判断しやすくなります。
準備の途中で新しい活動を増やしすぎると、これまで取り組んだ内容を振り返る時間がなくなることがあります。新しい活動を始める前に、すでにある記録で確かめられることはないかを見直します。不足が分かったら、その問いに必要な作業に絞って進めます。
遅い時期に準備を始めた場合も、短期間で十分だと考えず、現在地を確かめることから始めます。公式条件の確認、手元の記録の整理、学校への相談を進め、必要な作業と使える時間を具体的にします。できていない点を隠すより、優先順位を明らかにしましょう。
週の計画と保護者の支え方を決め、無理なく続ける
週の計画には、「調べる」「作る」「振り返る」の時間をそれぞれ少しずつ入れます。例えば、平日に記録を読み返し、週末に観察や制作を行い、その後に気づきをまとめる流れです。これは独自の計画例なので、学校の予定や体調に合わせて変えてください。
保護者は、本人に代わって志望理由や説明文を書くより、予定や相談先を整理する役割を担うと支えになります。「今週は何を確かめたいのか」「先生には何を相談したいのか」と聞くことで、本人が次の行動を言葉にする手助けができます。
予定表には休む時間も入れます。睡眠を削って作業時間を増やすことを前提にせず、学校生活と準備を続けられる形を考えてください。毎週の終わりに、進んだこと、止まった理由、来週の一歩を短く確認すると、計画を現実に合わせて調整できます。
修正日を確保する
完成予定だけでなく、確認と作り直しの時間も入れます。
作業を小さくする
写真選びや説明文の確認など、終わりが分かる単位に分けます。
家庭では整理を支える
本人の言葉を代筆せず、予定や相談内容を一緒に確かめます。
学校・独学・専門家の助言を使い分け、準備の落とし穴を避ける
早稲田建築AOの準備は、一人で進める作業と、人に見てもらう作業を分けると整理しやすくなります。学校、独学、専門家の助言には、それぞれ頼みやすいことがあります。何でも一か所に任せるより、今困っている点に合わせて相談先を選びましょう。
学校には日頃の経験の確認と第三者に伝わるかの点検を頼む
学校の先生には、授業や活動の中での経験を振り返る相談ができます。本人が当たり前だと思っている行動でも、先生から見ると継続して取り組んだ点が見つかる場合があります。ただし、先生に経験を作ってもらうのではなく、実際にあったことを確かめるために話します。
資料や文章を見てもらうときは、依頼する内容を具体的にします。「全部見てください」より、「このページで私の担当が伝わるかを確認してほしいです」と頼むほうが、見てもらいたい点が分かります。資料の量も、相談の目的に合う範囲に絞りましょう。
先生が忙しい時期には、相談したい内容、必要な時間の目安、返答をお願いしたい時期を先に伝えます。例えば、「来週までに、冒頭の説明が分かるかだけ確認をお願いできますか」と聞き、難しければ別の日時や方法を相談します。
学校側で必要な書類や手続きがある場合は、個別の添削相談と分けて早めに確認します。先生への依頼を送っただけで、対応が決まったとは考えないようにしましょう。誰に何をお願いし、いつまでに自分が何を用意するかを記録しておくと行き違いを減らせます。
独学では観察と記録を進め、確認が必要な点を分けておく
独学で進めやすいのは、身近な場所の観察、読書の記録、制作の振り返り、説明の録音などです。人に見てもらう時間が限られていても、自分の経験を集めて整理する作業は少しずつ進められます。疑問が出たら、調べる項目として残しましょう。
一方、自分だけで文章を読み続けると、説明が抜けている点に気づきにくくなります。ときどき、内容を知らない人に読んでもらい、何が伝わったかを聞く機会を作ります。専門知識がある人でなくても、言葉の分かりにくさを確かめる相手にはなれます。
情報を調べるときは、公式の条件と、個人の体験談や予想を分けて記録します。誰かの経験に書かれた方法が、その年度の自分にも当てはまるとは限りません。条件の判断は公式情報に戻り、体験談は準備の考え方の参考として扱いましょう。
学校には点検を頼む
日頃の経験や、資料のどこを見てほしいかを具体的に伝えます。
独学で記録を育てる
観察、読書、制作、録音など、自分で進められる作業を続けます。
条件は公式に戻る
体験談や予想と、大学が示す条件を混ぜないようにします。
専門家の助言は「何を確認したいか」を決めて利用する
専門家に相談する場合は、まず困っていることを言葉にします。作品の見せ方、空間についての考えの整理、文章と図の関係、質疑への対応など、相談の目的が決まると、必要な助言かどうかを確かめやすくなります。
相談先を選ぶときは、対応する範囲、費用、日程、質問できる方法を確認します。完成した資料だけを見せるのか、途中の案も相談できるのかによって、使い方が変わります。実績の数字だけで判断せず、本人が考える過程をどう支えるのかを聞いてみましょう。
助言を受けたら、「何を変えるか」に加えて、「なぜ変えるか」を記録します。例えば、ページの順番を変える提案があったなら、読み手が理解しやすくなる理由を確かめます。理由が分からないまま直すと、次の資料でも同じ迷いが残ります。
複数の人から違う助言を受けた場合は、どちらが正しいかをすぐに決めるのではなく、それぞれが何を重視しているかを確認します。読みやすさを重視した助言と、過程の詳しさを重視した助言では、提案が違うことがあります。目的に照らして本人が選びましょう。
落とし穴は見栄えの優先・言葉の借りすぎ・助言への丸投げ
資料を美しく整えることに時間を使いすぎると、経験の整理や説明の練習が後回しになります。見栄えを直す前に、自分の担当、工夫した理由、残った疑問が伝わるかを確認してください。装飾を減らすことで内容が読み取りやすくなる場合もあります。
難しい建築用語を増やすことも、注意したい落とし穴です。意味を説明できない言葉は、まず日常の言葉に置き換えてみましょう。専門用語を使う場合も、どの場面を指しているかを具体的に説明できるようにします。知っているように見せることを目的にしないでください。
先生や保護者、専門家の表現をそのまま使いすぎると、本人の経験と文章の間にずれが生まれます。修正案をもらったときも、声に出して説明し、自分の考えと合っているか確認します。言い方に違和感があれば、無理に採用せず相談しましょう。
他の受験生の作品を見て、似たテーマや表現を選ぶことにも気をつけます。参考になるのは、考えをどう示しているかという工夫です。テーマまで借りると、自分がなぜ関心を持ったのかを話しにくくなります。自分の記録に戻り、気になり続けている問いを探してください。
見栄えに偏らない
飾りを増やす前に、経験と考えの道筋が伝わるかを確かめます。
言葉を借りすぎない
助言を受けても、自分で意味を説明できる表現に直します。
本人が選び直す
提案の理由を理解し、自分の目的に合う形を選んで進めます。
建築への問いを観察ノート・一枚の提案・自己PRの説明へ育てる
最初の一週間は三つの成果物を残す
次年度以降の早稲田建築AO入試を目指す人は、まず学校で履修条件を確認し、身近な場所を一つ観察する予定を立てましょう。その週の終わりに、観察ノート一枚、鉛筆と文章で表した提案一枚、活動を短く説明するメモ一枚を残すことを、独自の練習目標にしてみてください。
三枚を並べたら、見たことからどんな問いが生まれ、なぜその案を選んだかを声に出します。説明が止まる場所があれば、次に調べることや描き直すことが見つかります。完成度を急いで高く見せるより、記録をもとに考えを更新する時間を早く確保することが大切です。
2027年度を受験している人は、確認日現在の選考日程と大学からの案内に従い、受験後は合格発表・入学手続の確認を進めてください。これから準備する人は、次年度の正式な要項が出た時点で、日程と書式を必ず差し替えます。
観察ノート
日時と場所、事実、推測、次に確かめたいことを一枚に残します。
一枚の建築提案
誰のどんな行動を支えるかを、図と文章で一致させます。
自己PRの説明メモ
本人の役割、判断、改善、これから学びたいことを整理します。
建築への関心はあるのに、活動や表現をどう準備へつなげるか迷う場合は、マナビライトへの相談も選択肢の一つです。今ある観察メモや作品、学校での活動を手がかりに、次の三点を整理するための相談として活用してください。
- 自分の活動のどこに、観察・工夫・協働の経験があり、何を追加で整理する必要があるか。
- 志望理由、活動実績報告書、自己PR資料を、それぞれの役割に合わせてどう分けるか。
- 今の学年と準備状況から、鉛筆表現・文章提案・質疑応答の練習をどう組み立てるか。
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